「マリー!!!」
「ティムさん!?」
途方に暮れていた私を正気に戻してくれたのは、ティムさんでした。
「マリー達の帰りが遅いからって、様子を見に来たんだよ!!」
「助かりました。この方を至急病院へ運んでいただけませんか?」
私はヤンさん達の元へ行かなければなりません。
まだ、残っている方がいます。
「こりゃ、重傷だね……。分かった、ゴリさん達もすぐに到着するから」
「お願いします」
ティムさんに男性の方を任せ、他の方達を救出しに行きます。
再び、ワームの元へ行くと大半のワームはヤンさんとジェムさんに始末されていました。
その屍の中で震えてる方々を安全な場所へと誘導します。
チラッとヤンさんとジェムさんの方を見ると、ヤンさんはまだまだいけますが、ジェムさんがそろそろダメですね。
息が上がり、動きが鈍くなっています。
「ジェムさん!!」
動きが鈍くなった様子を見たワームが口を大きく開けてジェムさんに襲いかかり、そのまま食べられてしまいました。
──まだ間に合います!!
すぐさま首を落としにかかりますが、私が切る前にワームの首が切り落とされました。
「ゴリさん!!!」
切り落とした人はゴリさんでした。
ゴリさんは素早くジェムさんを口の中から救出しました。
「ジェム、大丈夫か!?」
「死ぬかと思った……」
あの世に片足突っ込まれてましたからね。
生還出来て何よりです。
それより、ワームの体液と唾液でベチョベチョなんであまり近寄らないでください。
「おいっ!!ヤン!!その辺にしとけ!!そろそろ戻る!!」
「…………」
まだワームと格闘しているヤンさんを呼び寄せ、皆さんの待つ所へ。
◇◇◇
「さあ、何があった?くわしく話してもらうか?」
救出した方達は全部で7人でした。
しかし、皆様ガタガタ震えて話せそうにありません。
──ワームと言うより……ゴリさんの顔が怖くて震えてるんじゃないんですか?
「…………」
「『俺らがここに到着して暫くしたら、こいつらがワームの群に投げ込まれた。そこを助けた』と、仰ってます」
「……投げ込まれた?」
「……悲鳴を聞いた時チラッとですけど、人が見えました」
ジェムさん、中々やりますね。
この方達はワームの餌として、どなたかに投げ込まれたのでしょう。
となれば、このワーム達はどなたかのペットと言うことになりますね。
はたして、その飼い主の名前が聞けるかどうか……
「……ゴリさん、ちょっと離れてもらえますか?」
「あ?何でだ?」
何でと言われましても、この方達がゴリさんを怖がってお話が出来ないからです。
「…………」
「おっ、おい!!ヤン!!どこに行く!?」
ヤンさんがゴリさんを連れてこの場を離れてくれました。
ヤンさんナイスフォローです。
正直、ヤンさんも強面なのでちょうど良かったです。
「さて、極悪面は何処かに行きましたので、安心してください。改めてお話してもらえますか?」
「……お前、自分の上司に大分酷い事言ってる自覚あるか?」
隣でジェムさんが何か言ってますけど、知りません。
「あ、あの、助けてくれて、ありがとうございます……」
一人の男性が話してきました。
「で、何故ワームの餌になるような事態になったのですか?」
「それが……」
男性は言葉に詰まり話す事をやめてしまいました。
「全部、クレメール伯爵のせいよ!!」
一人の女性が声を荒らげました。
クレメール伯爵?
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