城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

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特訓の成果

公開日時: 2022年3月13日(日) 11:50
更新日時: 2022年3月23日(水) 06:33
文字数:1,512

私は、カマキリ男を縄でぐるぐる巻きにしてから、奴隷の方々の手当に入ります。


ジェムさんの方を見ると、刺客の方と剣を交えながら何やら話しているようですが、話してる暇があるなら早く仕留めて下さい。


「貴方、中々の腕ね。──ねぇ、私達の仲間に入らない?」


ちょっと、勧誘はやめて貰えますか?


「ならない。俺はここが気に入っている」


ゴリさんが聞いたら、涙腺崩壊です。


「……そう、残念。貴方、結構好みだったから殺すのは惜しいと思ったのに」


好みの男性だったら手当り次第勧誘するんですかね?


「お前は俺の好みではないし、殺されるつもりもない」


「こんないい女が好みじゃないって言うの!?あんたの目は節穴なの!?」


「……イヤ、お前一度鏡見た方がいいぞ?」


ジェムさん、敢えて言わなかった事を言っちゃいましたね。

確かに、容姿としては良く言えたものではありませんが、一応女性なのでやんわり断るということを覚えましょう。


「はあ!?毎日見てるわよ!!どいつもこいつも、私の魅力が分からないなんて可愛そうね!!」


あらあら、大層ご立腹ですよ?

攻撃の威力が上がりましたね。


さあ、ジェムさんはどうするのでしょう。


「うるせぇ!!いい加減黙れ!!お前は芋だ!!芋が喋るんじゃねぇ!!」


「~~~っ!!?何ですってぇ!?」


芋女さんは顔を真っ赤にして、怒りで震えています。


──火に油を注ぎましたね。


あの方はプライドがお高い方なのでしょう。容姿を馬鹿にされてさぞ屈辱な事でしょうね。


「お前は私が殺す!!」


物凄い勢いでジェムさんに襲いかかりました。

森に剣が当たる音が響き渡ります。


「……ばぁちゃんごめん。言いつけ破るよ」


ジェムさんが急に動きが良くなりました。

……ヤンさんの指導がちゃんと身に付いているようですね。


「何よ!!なんで急にこんな攻撃──」


カキーーン!!


──勝負ありましたね。


ジェムさんは芋女さんの剣を叩き落とし、剣を向けています。


「……さあ、終わりだ」


「はんっ!!何よ!!私に勝ったからっていい気にならないで!!」


ジェムさんは、「はぁ~」と大きなため息を付き剣をしまいました。


おや?留めは刺さないんですか?


ジェムさんはこちらに気づき、芋女さんに背を向けました。

すると、ニヤッと嫌な笑みをしたかと思えば、懐から銃が出てきました。


「ジェムさん!!!」


パンッ!!


「──っく!!!」


銃弾はジェムさんの脇腹に当たり、血が滴り落ちています。


「あーはっはっはっはっ!!!こんな戦いの場で相手に背なんて向けるからよ!!」


ごもっともです。

あの場合、直ぐに捕縛するれば合格でした。


とは言え、ジェムさんはもう無理ですね。

……仕方ありません。もうひと勝負行きますか。


「よいしょ」っと立ち上がろうとした瞬間、肩を掴まれました。

横を見ると、そこにはゴリさん。


「あれ?終わったんですか?」


「ああ、楽勝だったな」


見ると、カマキリ男の横にゴロンと横たわる方がいました。

ちょっとゴリさんやり過ぎじゃないですか?

あの方、顔の原型とどめておりませんが?


そして、ヤンさんはと言うと──


「ちょっと何すんのよ!?触んないでよ!!」


「…………」


「『黙れ、ブス』と、仰っておりますが?」


「あんた!!それ、絶対嘘でしょ!!適当な事言ってんじゃないわよ!!あんたの方がブスよ!!」


ヤンさんに銃を奪われ、手を拘束されても尚煩いですね。

正直、ブスにブスと言われても痛くも痒くもありません。


「それより、私はジェムさんを病院に運びます。後は宜しくお願いします」


「ああ、頼んだ」


「ちょっと逃げんじゃないわよ!!どっちがブスか勝ぶふっ──」


あまりにも煩いので、ヤンさんが口を塞いでるのが見えました。


私はジェムさんを担いで、病院へと急ぎます。

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