「──ルイスさん、大丈夫ですか?」
「ちょ、まっ、えぇ~!?」
私とルイスさんは隠密用の服に着替え、オーバーフォルク邸へ乗り込んでいる最中なんですが……
「……まったく、何してるんですか?早くしてください」
「いや、ちょっと、見てないで手伝ってよ!!抜けないんだよ!!」
屋根裏に続く小穴を見つけたので、そこから侵入しようとしたら、ルイスさんがハマりました。
「──ルイスさん、太ったんじゃないんですか?」
「いやいや、マリー。これは俺の逸物が大き──」
ドカンッ!!!
「──抜けましたね。良かったです」
馬鹿げたこと言ってる暇は無いので、思いっきり蹴れば見事に抜けました。
「いててててて……。マリーには冗談も通用しないの!?」
「つまらない冗談に、いちいち反応していられません。──さあ、行きますよ」
「厳しい!!!」
さて、無事に屋根裏へと忍び込めましが、ナタリーさんは何処でしょう?
下を覗きながら探しますが、見つかりません。
「……ねぇ、もしかして、地下じゃない?」
ルイスさんの一言に、眉がピクッと反応します。
……確かに、これだけ探して居ないとなると地下の可能性があります。
──ルイスさんに教えられるとは……屈辱です。
「……そうですね。地下へ行ってみましょう」
「えっ!?なんか不服そう!?なんで!?」
「──静かにしてください」
パコンッ!!
「いてっ!!」
ルイスさんの頭を叩けば、なんとも軽い音が。
脳みそ入ってるんですかね?
◇◇◇
「……ねぇ、これって聖獣?」
「こちら魔獣ですね」
改めて地下へと潜入しましたが、なんとも、見逃せない物ばかりでした。
聖獣や魔獣が剥製にされ、飾られていたのです。
更に奥へ進むと、牢の中にナタリーさんを発見しましたが、薬で眠らされているのか反応がありません。
しかし、それだけではありません。
牢の中にはナタリーさん含め、数人の女性も囚われておりました。
「……ルイスさん、直ぐにゴリさんに報告、騎士の方を手配してもらってください」
「マリーは?」
「私は、この方達を避難させます」
鍵を壊すぐらい造作もありません。
豚さんは今、シモーネさんが相手をしていますがそろそろ限界かもしれません。主にシモーネさんの個人的なものですが……。
今のうちに片を付けたいんです。
「分かった。ヤン達には応援頼んでおく」
「宜しくお願いします」
ルイスさんは素早く元来た道を戻って行きました。
さあて、いきますよ。
ガシャンッ!!
あら?
勢い余って牢ごと壊してしまいました。
──まあ、解体する手間が省けましたね。
「さあ、立てますか?逃げましょう」
囚われていた女性に逃げるよう声を掛けると、あわてて外へと逃げ出ていきました。
「あ、あの、この方は……?」
一人の女性が、ナタリーさんを指さしてします。
「大丈夫です。私が連れていくので、貴方は早く逃げてください」
そう言うと、女性は外に向かって走っていきました。
さて、残すはナタリーさんのみですか……
よいしょと担ぎあげ、私達も急いで外へ向かいます。
──ナタリーさんの目が覚めたら、痩せるように助言しときましょう。
パンッ!!!
私の頬を銃弾が掠めました。
「それはワシの娘だ。何処へ連れていこうとしている?」
目の前には、豚さんが銃を持って立っていました。
「ごめ~ん、マリー。バレちゃった」
その後ろから、詫びる気のないシモーネさんが、手を拘束されて現れました。
「……まったく、あと少し我慢できなかったんですか?」
「無理よ!!見てちょうだい!!この脂といい、この禿げ具合!!口まで臭いのよ!!私は飼育員じゃないの!!」
相当嫌だったんですね。
分かります。分かりますけど、仕事なので我慢してください。
「……お前ら、本人を目の前にして良くそんな事言えるな」
あっ、豚さんいるの忘れてました。
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