事故物件の幽霊ちゃん

〜隣の部屋のポルターガイストを暴いたら可愛い女の子の幽霊だったので一緒に暮らすことにしました〜
津ヶ谷
津ヶ谷

第2話 ウチ、来る?

公開日時: 2020年10月24日(土) 19:05
文字数:900

本作品は三倉ゆめ先生原作漫画『事故物件の幽霊ちゃん』ノベライズ版です!

 私は、幽霊の女の子と同居することになった。


「家、行こうか」


 抱き着いてきた、女の子の頭を優しく撫でながら言った。


「うん、行きたい。でも、行けない……」


 幽霊の女の子は、力ない絞りでしたような声で言った。


「えっ?」


 私は、驚いた表情をし、女の子の表情を見つめた。


「私、ここの地縛霊だから、ここから出られないの。気持ちだけで凄く……すごく嬉しかったから、もう、静かにして……」


 ボロボロになったぬいぐるみを、強く抱きしめ、一言一言を紡ぎ、肩を揺らした。

目には、涙を浮かべている。


「どうすればいいの?」

「え?」


 幽霊の女の子は拍子抜けしたような、そんな表情で私を見つめてきた。


「一度は、『うん』って言ったってことは、何か方法があるんでしょ?」


 私には、何も方法は無いとは、どうしての思えなかった。

もし、あるなら、この女の子を一人の寂しさから解放してあげたい。

そう思っていた。


「だけど……」


 幽霊の女の子は、遠慮がちに声を上げた。


「いいから言ってみな」

「取り憑くの」

「マジか……」


 方法があることは予想していたが、まさか取り憑くとは思わなかった。


「でも、取り憑いたら、不幸になる。私、幽霊だから。だから……」


 喉を鳴らすような可愛らしい声でそう言うと、ぬいぐるみをきつく抱きしめていた。

その姿を見たら、ますます、この女の子を一人にはしておけないと思ってしまった。


「ほれ、いいよ。取り憑いて」


 私は、目線を幽霊の女の子と同じ高さにすると、両手を広げて見せた。

不幸になるくらいなんだ。

一人の寂しさ、辛さに比べたら何てことは無い。

私に、この子を見捨てるという選択肢は無かった。


「ほうとうにっ? だって、不幸に……」

「いいから」


 優しい表情を受けべ、笑顔で頷いた。 


「うしろ、むいてっ」


 そういう、女の子の目には、さっきより沢山の涙が溜まっていた。


「はいよ」


 私は、言われた通りに後ろを向いた。

すると、幽霊の女の子のは背中に乗っかて来た。


「うっうぅ……とり、ついたぁ!」


 目には、沢山の涙を溜めていた。


「うん……」

「あり、がとう……」

「うん、ウチ行こうか」


 背中に感じる重みは、確かに重かったし、その体温は暖かかった。

まるで、幽霊とは思えないほどに。

いかがでしたでしょうか?

楽しんで頂けたら幸いです!


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