「地理学の概論としてはそれくらいでいいでしょう.次の自然地理学とは,自然現象を取り扱う地理学の一部門で,気候,水文,地形,土壌地理,植生地理などの地球環境を対象とします.では,地殻変動により形成された大地形には何がありますか.」「安定陸塊,古期造山帯,新期造山帯です.安定陸塊にはさらにカナダやバルトなどの楯状地,ロシアやシベリアなどの卓状地,さらに構造平野や準平原などの侵食平野があります.プレートテクトニクス理論は地球表面がいくつかのプレートに覆われ,地球内部の力で動くとするもので,大陸分布や山脈形成の理論的根拠となります.」「それでは,侵食・堆積により形成された小地形にはどのようなものがあるでしょう.」「堆積地形としては沖積平野,谷底平野,扇状地,氾濫原,三角州,洪積台地,河岸段丘,海岸平野です.氷食地形としてはU字谷,カール,ホーン,モレーンです.溶食地形としてはドリーネ,ウパーレ,ポリエです.スロベニアのカルスト地形,中国の桂林,山口県の秋吉台などが有名です.火山地形としては火山砕屑丘,溶岩円頂丘,火山岩尖,マールなどの単成火山,溶岩台地,楯状火山,成層火山などの複成火山があります.海岸地形としてはリアス海岸,エスチュアリー,フィヨルドなどの沈水海岸,海岸平野,海岸段丘などの離水海岸,砂嘴,砂州,潟湖,トンボロと陸繋島などの沿岸流による砂の堆積地形があります.」「では,海洋と陸地は地形上,どうなっていますか.」「陸地:海洋が3:7くらいで,陸地の2/3は北半球に分布しています.陸半球はパリ西方に中心を持ち,水半球はニュージーランド東方のアンティポディーズ諸島に中心を持ちます.大洋は太平洋,大西洋,インド洋で,大陸に囲まれた海洋としては地中海,北極海など,縁海としてはバルト海,日本海などがあります.海洋の地形には海嶺,海溝,大陸棚があります.海流は大気の大循環などの影響により北半球は主に時計回り,南半球では主に反時計回りに発生し,寒流と暖流があります.」
「では気候を決める要素は何ですか.」「気温,降水量,風などです.気候因子としては緯度,海抜高度などがあります.気温の逓減率は1000 mの高度上昇ごとに6.5°Cほどです.降水量は低緯度,東岸,海岸に近いほど大きくなる傾向があります.風には貿易風,偏西風などの大気の大循環による恒常風,モンスーン,フェーン・シロッコ・やませなどの局地風,台風・ハリケーン・サイクロンなどの熱帯低気圧があります.」「気候区分にはどのようなものがあるでしょう.」「気候区分は月平均気温,降水量の季節的変化,植生分布などにより分類されます.ケッペンの気候区分によれば乾季のない熱帯雨林気候,弱い乾季のある熱帯雨林気候,サバナ気候,ステップ気候,砂漠気候,地中海性気候,温暖冬季少雨気候,温暖湿潤気候,西岸海洋性気候,亜寒帯湿潤気候,亜寒帯冬季少雨気候,ツンドラ気候,氷雪気候があります.雨温図やハイサーグラフで分かりやすくなります.」「土壌にはどのようなものがありますか.」「成帯土壌としては湿潤土壌としてラトソル,赤黄色土,褐色森林土,ポドゾル,ツンドラ土が,半乾燥土壌としてプレーリー土,チェルノーゼムが,乾燥土壌として砂漠土,栗色土などがあります.間帯土壌としてはテラロッサ,テラローシャ,レグール,レス,火山灰土などがあります.」「植生にはどのようなものがありますか.」「熱帯雨林,熱帯季節林,マングローブ林,暖帯林,落葉広葉樹林,針葉樹林,ツンドラ,サバナ,ステップ,温帯草原などがあります.」
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