このサイトで、初めて物語を書きます。
また、方言は基本的に変換ツールを使って、書いています。
よろしくお願い致します。
文久三年の秋。
薄ら寒い風が優しく吹き、鮮やかな色をした紅葉が、三つ舞い落ちる。
私は旅籠の二階の部屋で、一人朱色に染まる夕暮れの空を見つめていた。雲がとても緩やかな速さで、流れていく。
今日は私、児玉鈴蘭の誕生日だ。今年で、十三歳になる。
私はこの時代──幕末の人間からすると、未来人だ。
遥か先の未来、二〇二二年の東京都の二十三区内に住んでいて、いつも家から学校に行ったりする生活を過ごしていた。
しかしそんなある日、私はひょんな事でタイムスリップをしてしまう。
けれども、私が行き着いた時代は──どこかがおかしく、どこかが当たり前である幕末だった。
「なんだっけなぁ、うちの名前」
私は現代にいた頃の名前を、思い出そうとしていた。しかしそんな時、頭痛が襲ってくる。
だが、前より重くはない頭痛で、今は少しぴりぴりとした痛みが出てくるだけだ。
「……上手く思い出せないなぁ。あぁ、痛い」
私は悩ましげに、そう呟く。顔を歪ませ、眉をひそめた。
痛みが出てきている部分を優しく抑えると、足を伸ばしている姿勢から、体育座りになった。
私の蒼く長い髪の毛が、少し冷たいそよ風に乗ってなびく。
そんな時、私はこんな事を思い出して、呟く。
「うちなんて普通じゃねえのに、よくあいつらは受け入れてくれたな……」
──そう、私は普通では無い。
いや、普通というものが──よくわからない。とある三つの持病を持って生まれてきたのがあるかもしれないからこそ、私には不正確には理解できないのかもしれない。
私はそのような曖昧なものが、非常に嫌いで仕方ない。
自分以外に出来ない人もいる。そう分かってはいても、中々なんとも言えない歯痒さをどこか感じてしまう。
何故自分は当たり前の事が、出来ないのだろうか──?
何故自分は常識の輪から、外れてしまっているのだろうか──?
そんな沢山思い浮かんでくる疑問を、いつまでも解消出来ないままだった。
けれども、それらは全て──あの人達によって、理解や克服ができるようになっていって……
そう、様々な歴史人物達と、一人の少女と出逢うまで──
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