一日を遊び倒して疲れた体を風呂で癒やした。
風呂で全裸の女性に囲まれ続けるのは精神的に疲れたのだが、待ちに待った晩ごはんの時間がやってきた。
今日のメインは俺の狩ってきたドラゴンの肉だ。
楽しみで仕方がない。
俺は食堂へと急ぐ。
ドラゴンの肉。
この響きに胸ときめくかない男などいない!
理由などない。
だってドラゴンだから!
最悪不味くてもいいのだ。
ドラゴンの肉を食らう!
どんだけ凄いパワーワードなんだ。
今日の晩ごはんはドラゴンの肉だ!
ヤバすぎる。
そして黄金の国と言われた島へと行き、いろいろな調味料を仕入れてきた。
米もだ。
今後、米や醤油を使った料理が出てくる日があると思うと更にテンション上がる。
ヤバすぎるだろ。
潤っていく生活環境!
テンションが上がらないほうがおかしい。
わけのわからん事を考えているうちに食堂へと着いた。
すぐさま席へと座る。
テーブルに置かれている日本酒をちびり。
まず目の前に転移してきたのは熱々に熱せられている溶岩プレートだった。
そしてドラゴンと思われる生肉がテーブルへと並ぶ。
俺はゆっくりと肉を一切れ溶岩プレートの上へと乗せる。
じゅーーーーー!
肉の焼ける良い音がする。
油が浮いてきたところで肉を返す。
程よく焦げて良い感じだ。
じゅーーーーー!
裏面の焼き具合を確認してから、すかさず塩につけて口に運ぶ。
蕩ける肉と蕩ける油のハーモニー。
塩によって引き出される肉の甘み。
美味すぎる。
完全に俺の好みの肉だ。
日本酒との相性も抜群だ。
再び肉を溶岩プレートへと乗せる。
じゅーーーーー!
一枚ずつとか言ってられん。
もう一枚乗せる。
じゅーーーーー!
先に乗せた一枚を返す。
しばらく待ってもう一枚を返すと先に乗せた肉を食べる。
口の中に旨味が広がる。
すかさず次の肉を溶岩プレートへ乗せる。
そして焼き上がった肉を口へと入れる。
すかさず次の肉を乗せる。
エンドレスに口の中を襲う旨味。
ヤバすぎるだろ。
これは想像以上に美味すぎる。
焼き肉の虜になっていたのだが転移して来た物に絶句した。
お櫃だ!
お櫃に入った白米が出てきたのだ。
もうしばらく米は出て来ないと思っていたのに、もう炊きたてを用意してくるとは。
俺は急いで茶碗へと米をつぐ。
焼けた肉をタレにつけて茶碗の米にワンバン。
肉を口の中へ。
すかさずタレのついた米を口へと運ぶ。
肉の旨味とタレの風味が合わさり、炊きたての米の甘みが追いかけてくる。
俺を殺す気なんだな。
これで死ねるなら本望だ。
俺はガンガン肉と米を食いまくった。
ああ、このまま俺は死ぬんだなぁーと思えるぐらい幸せに包まれている。
なんて幸せな晩ごはんなんだろう。
とかバカみたいな事を考えていたら追い打ちをかけてきやがった。
主役の登場だ、厚切りステーキ!
すかさずナイフとフォークで切り分けると中が赤くレアな部分が姿を現す。
ソースを漬け口に入れると肉は蕩けていく。
そしてすかさず米だ。
一瞬でステーキは消えてなくなった。
洒落にならん。
美味すぎて死ぬ。
残念だがお櫃の米もすでに空だ。
って、お櫃のおかわりきたぁー!
ステーキのおかわりもきたぁー!
俺が箸で食べているのを考慮してくれたのだろう。
おかわりのステーキは斜めにカットされた状態で出てきた。
程よく厚切りにカットされた肉は口いっぱいに旨味を主張してくる。
後追いの熱々の米が美味い。
更に追い打ちは続く。
肉寿司だ。
シャリの上には炙った肉が乗っている。
横に添えられた小鉢には千切りした生姜。
俺は寿司を手に取ると肉寿司に醤油を漬け口に入れる。
醤油の風味、香ばしい肉の油、口の中で解ける酢飯、そして米の甘み。
美味すぎるだろ!
横に添えられている生姜がいい。
口が少し油っぽくなったと思ったら寿司と一緒に口へと入れる。
爽やかな風味が口をサッパリとさせてくれる。
焼き肉、ステーキ、肉寿司。
炊きたての米。
俺は心ゆくまで肉を堪能したのだった。
こんだけ美味い肉なら定期的にドラゴンを狩りに行こうかなあ。
本気でそう考えるぐらいの旨さだった。
いっそのことドラゴン飼って養殖すればいいんじゃね?
そしたら定期的に食べられるのではないだろうか。
本気でとりかかろうかなあ。
いかん。余りの美味しさに頭がおかしくなっている気がする。
だがあれを定期的に味わえるとなるとそれなりの価値はある気がする。
養鶏場ならぬ養ドラゴン場。
まじで作ってやろうかなあー。
そういえばまだあの山の洞窟にはドラゴンが沢山いた。
あいつ等全部連れて来てこの大陸で育てればいいのでは……この大陸をドラゴンが大量に住む国にしてやろうかなぁー。
いかん。
あまりの肉の美味しさに頭が完全にセレネになっていた。
冷静になれ。
育てる環境とかもあるからなぁー。
連れてきたところで育つとも限らない。
というかドラゴンなら成長するまで百年単位とかもあり得る。
卵を毎年産むとも思えんし、爆発的に増えることなどない気がする。
そう考えると採算があわんし、そもそもそんなには待てん。
よし、この話しはなしだ。
にしても調子に乗って食べすぎた。
食後のコーヒーが美味い。
「失礼いたします。本日の夕食はいかがだったでしょうか」
気づいたらニクロスが様子を伺いに来ていた。
「完璧だ。申し分ない」
「ありがとうございます」
「にしても今日運んできた米が夕食に出てくるとは思わなかったぞ」
「ディアブロ様の力添えがございましたので」
あいつ、だから風呂にはいなかったのか。
「ディアブロも、流石だ」
「光栄でございます。アルス様のためとあらば」
まだ戻っていないかと思ったがすでに後ろに控えていた。
お前は忍者か。
というか思った以上に本気で食べたからまた汗をかいた。
「おい、ディアブロ。汗をかいたから風呂へ行くぞ。セレネはどうする?」
「私もいきまーす」
相変わらずお前のテーブルに乗っている皿の山は尋常じゃないな。
どんだけステーキばかり食ったんだ。
俺が見た感じセレネはあまり米は食べていなかった。
箸が使えないのもあるのだろう。
焼き肉も焼けるまで待てなかったのだろう、ステーキが来てからはひたすらステーキを食べていた。
合間に肉寿司は食べていたが。
白米の良さがわからんとは、やれやれだ。
再び風呂へと向かいのんびりと湯船につかった。
まわりが相変わらず騒がしいがお腹いっぱいだし、気分が良いので無視してボーッとした。
「アルス様、お一つ如何ですか?」
ん?
隣を見るとメティスが徳利を持っている
風呂に浮かぶお盆にはお猪口。
「もらおうか」
風呂で飲む日本酒が美味い。
メティスがお酌してくれたから尚更美味い。
こんだけ綺麗なお姉さんからお酌してもらうなんていくら払えばいいんだ。
しかも裸だぞ。
「メティスも飲むか?」
「よろしいのですか?」
「かまわん」
お酒を飲む姿も色っぽい。
綺麗なお姉さん……最高だ。
このまましばらく酒を酌み交わしていたのだが段々とメティスの距離が近くなってきている。
もはやベッタリ引っ付いている。
体のいたる所に柔らかな感触が……。
「メティスー、アルスに引っ付き過ぎよ!私のなんだからねー」
反対側にセレネが引っ付いてきた。
「セレネ様ばかりズルいです。私だってアルス様を愛しています。アルス様に愛していただきたいんです。たまにはいいじゃないですか」
「ダメに決まってんでしょーが!急に何言ってんのよ!」
「毎日愛してもらっているのにズルいですわ」
「何言っとんじゃい!」
「わたしも愛してぐだざいーー」
突然泣き出した。
どうやらメティスは酒に弱かったらしい。
よしよし。
「あー何してんのよー!あたしも頭なでなでしてもらったことないのにー」
メティスの頭を撫でたらセレネが叫びだした。
やかましい。
その後もカオスな状態は朝まで続いた。
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