全力さんやユキから直接聞いた話に、ほんの少し脚色を加えて、ここまで書いてきた。これから先の事は、僕にも本当に分からない。だけどきっと、向こうの世界で、アケミやえっちゃんと幸せにやってるんじゃないかと思う。
現在の時空管理局の正史では、全力さんは黎明期の共和国を率いた独裁者として、「七分功、三分過」の評価が定説となっている。反管理局組織は国家元首としての全力さんを斃したが、使い魔としての全力さんを憎む者は誰もいなかった。それに、もし全力さんが居なかったら、共和国はファーネリアの属国になっていただろう。
美しいものを目指そうとする行為に、勝者も敗者も存在しない。全力さんは間違っていたかもしれないが、誰よりも皆の事を考えていた。それだけは確かだ。
二〇四七年 二月二二日
時空管理局・創作課課長 伊集院アケミ(二代目)
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