家を出た私は夜も遅いので宿屋に泊まり一夜を過ごした。
お小遣いを貯めておいて良かった、暫くは生活には苦労しない。
「う~ん、久しぶりにスッキリした目覚めだわ」
朝が来て目が覚めた私の頭はスッキリしていた。
今まで学園でも家でも落ち着かない日々を過ごしていたのでこんなにグッスリ眠れたのは久しぶりだ。
やっぱりストレスを貯めるのは良くない事なのだ。
昨日のパーティーで貯まっていた物を全て吐き出したので気分が良い。
私は宿屋を出て教会に向かった。
「ここに来るのは8年ぶりね」
教会に入ると神官がいた。
「これはミレイ様ではありませんか」
「様つけは結構です。私、昨日で貴族では無くなりましたから」
「ご実家と縁を切った、と言う噂は本当でしたか……」
そう言うと神官様は神妙な顔をした。
「自分で決断したので後悔はしておりません。それで実はお願いがあるんですが」
私は神官様の前に鉢植えを出した。
「コレが一体何なのかを知りたいのです」
「草、ですね……」
「えぇ、育てた結果がコレです。花の種類ならわかるんですが草は流石に……」
貴族令嬢の嗜みとして花の種類は覚えなければならないのだ。
ある程度は知らないと品評会で恥をかく事になってしまうからだ。
まぁ、私は品評会に呼ばれた事すらありませんけどねっ!
「う~ん、基本的に皆様方に与える種は花が咲く事が前提で選んでいるんですよ。草の種が混ざると言う事はあまり無いのですが……、詳しい者に見て貰いましょう」
そう言って神官様は鉢植えを持って奥に行った。
それからどれだけ経過しただろうか。
「お待たせしました……」
何やら疲れた表情で神官様が現れた。
「あの、お疲れの様ですが……」
「えぇ、色々ありまして……、まず結論から言いますとこの草は薬草です」
「薬草、ですか」
「ただの薬草ではありません。これは伝説の薬草と呼ばれている『コンヅキソウ』と呼ばれている物なのです」
コンヅキソウ?
聞いた事がない……。
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