――あれから毎日毎日、俺のところに彼女はやって来る。どうしてそんなに俺のことを……。
「それはね……。君のランクがGじゃないからだよ」
「――え?てか、俺の心の声聞こえんの?」
「まあね、それが私の特殊能力だからね……」
初めて彼女と会話をした。彼女の話によるとこの世界には稀に、人間離れした特殊能力を持って生まれてくる人がいるらしい。そして、彼女の特殊能力は人の心の声を聞くものだった。それも、自分でコントロールできるそうだ。
「――なるほど、だからAランクなんだな……」
「そう言う君も、特殊能力者だよね?」
「………………」
敢えて俺は、何も答えなかった。きっと彼女は俺の特殊能力を知っているはずだから。俺の特殊能力とは……。
『少し先の未来を見る能力』
しかしこの特殊能力は、まだ子供だから俺には使えない。だから価値数字も0でランクがGなんだ。
「――違うならいいんだけど。まあ、もし君が特殊能力者なら私は歓迎するよ。――橘瑞人君」
俺は彼女、花嶺霞の言葉に何か違和感を感じた。
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