――東条に勝った俺は、学園内で噂になっていた。それは当たり前の話だ、学園順位6位の東条に無傷で勝ってしまったのだから。
「――ねえ、あれが噂のGランクだった奴?」
「――そうそう、あの東条に無傷で勝ったんだって」
「それって東条が手加減したんじゃないの?」
「やっぱりそうだよね。そうじゃなきゃ、Gランクの人間が学園順位6位の東条に勝てるわけないよね」
最終的に噂は『東条一樹が手加減した結果、負けた』というものになった。ところで今更だが、この学園の順位というものを説明しよう。
学園順位とは、この学園にいる特殊能力者の価値数字で決められる。ここでは、自分よりも上の順位の人に勝つことによって、価値数字を上げることができる。だから、東条に勝ったことによって、俺も価値数字が上がった。
「価値数字150……。もう少し上がってもよくないか?」
俺の価値数字は150になり、俺はGランクからEランクになった。
「――ランクアップおめでとうございます。橘瑞人君」
後ろから声が聞こえ、俺は振り返る。そして、そこに立っていたのは……。
「――花嶺霞。なあ、お前はどのくらい強いんだ?」
俺がそう言うと、彼女は笑う。――醜く歪んだ笑顔で。
――――キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!
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