――あれから半年が経ち、俺が姉さんの部屋を掃除していると、机の裏側に茶色の封筒が貼り付けてあるのを見つけた。
その茶封筒を開封すると、中には女子っぽい便箋が入っており、案の定姉さんからの手紙だった。そして俺は、その手紙を読み始める。
◆
『親愛なる弟、瑞人へ。今この手紙を読んでいる瑞人は、私に酷いことを言われた後だと思う』
「え、なんで……?」
『そして、前の一文に対して「え、なんで……?」とか思ったでしょ?』
「いや、怖いって……」
『怖くないよ?だって私の特殊能力にはお父さんの能力もあるんだよ?瑞人だってそうでしょ?』
「あ、そういえば……」
『今忘れていたでしょ。まあ、そんなことはどうでも良くて、本題はここから……。まず最初に結論から言わせてもらうと、瑞人は学園に来ないで。正確に言うなら学園に入学するのはダメ。なぜこんな事を言うのか詳しくは伝えられないが、とりあえず入学してはいけない。本当にすまないと思っている。でも、瑞人には普通に生きてほしい。―――だからお願い、瑞人』
俺は手紙を読み終えるとあることに気がついた。
「あ、あれ?おかしいな、目が、目がかすんで前が見えないや……」
手紙に雫が降りそそぎ、手紙の文字が滲んでいく。
「そっか、俺は姉さんに愛されていたのか、それなのに……」
後悔してももう遅い、俺だってそのくらいわかっている。それでも――
「俺は姉さんを助けたい。守られるだけじゃ嫌だ!姉さんには悪いが俺はもう、お願いされていうことを聞くようないい子じゃないんだよ」
そして俺は、姉さんを助けるために学園への入学を決意した。――しかし、価値数字0の俺が入れるわけもなく、結果はもちろん不合格だった。なので俺は、普通の高校に通うことになった。
そして高校の入学式、俺は再び出会う。――――花嶺霞という少女と。
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