――結局俺は、失踪した姉さんの情報を手に入れるためにA級機関エフォートに入った。正確には、機関が運営している学園に入学した。
「それで、姉さんは今どこにいるんだ?」
「え?そんなこと私に分かるわけないじゃないですか」
「はあ!?だってお前、姉さんの情報持っていたじゃないか!」
「あー、あれはお父様からいただいたものですから」
「それならお前の父親に会わせてくれ。お前の父親から話を聞くから」
「それは無理ですよ、お父様に会うならAランク以上でないと……」
「な、なんだよそれ、俺みたいな底辺は会う資格がないってことかよ……」
うつむく俺に、彼女は言った。
「そういうことです。悔しかったら、少しでも足掻いてみなさい。橘瑞人君」
「──ああ、そうしてやる。俺は変わるって決めたんだ、少しでも足掻いてみせるさ!」
──俺は変わる、今までバカにしていた奴らを見返してやる。そう決意した瞬間だった。
そしてその時、花嶺霞の顔は笑っていた。そんなこと、俺は気づいていない。
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