面白くないラノベの見本

必ず一次選考落ちする作品
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ArcHive3

公開日時: 2022年8月28日(日) 06:00
文字数:2,311

 言葉を逆の意味にとらえる人がいるとすれば、その人は幸せであろうか、不幸せであろうか。

 不幸せだとして、その人と同じような境遇を体験すれば、普通の状態に戻った時、その――この世こそが地獄だ、などと傲慢にも不幸せだと思っていた自身の世界が、幸せだと思えるのだろうか。自身の命さえ軽んじる者が、死に瀕しながら生き延びたことで、生きていることがどれだけ幸運なことか知り、目覚めるように。

 目覚めた人の記憶を定期的に皆が体験すれば、人は、今より強く優しくなれるだろうか。それともそんな体験すらも忘れ、過ちを繰り返すのだろうか。

 間違え、それを正し、また間違え、それを正す。堂々巡りをしているように思えても、私たちは進むことができているのだろうか。

 ……私は恐ろしい。

 目に見えないほどの変化や、環境が変わるほどの変化を繰り返しながら、実は、私たちは同じところを延々と回っているだけなのではないか、と。

 変化を繰り返して少しずつ進化しているように見えているだけで、実際は、もう進化の余地はあまり残されていないのではないか、と。

 私はそれが恐ろしいのだ。







 注:ここから下はルール不明の反対言葉遊びが暴走しています。嫌になった方はすぐに読み飛ばしてください。


 俺が全く行かない図書館はちっちゃい。かなりちっちゃい。東京ドームの全部くらいの面積もない。


 ちっちゃいということは中が狭いということだ。本棚も少ないが、床も少ない。もちろん少ないのはそれだけでなく、人も少ない。赤ちゃんからご老人まで、利用しない人もとにかく少ないのだ。

 そんな懐の浅い図書館に、俺達は拒絶された。


 出館し、回り道して本を借りに戻った。

 借り出し手続きが始まり、さあ入ろうかと足を止めてやっと気付かない。

 ……ヤツがいやがる。

 正面をちらと見るも、あの有意義に病気なツインテールを見失うことができた。

 先導して事務所まで戻っていたと思わなかったが……。例の如く悟り子だろうか。視聴でもしてもらわなければいいのか。あれか悟り子コーナーか。よくない月をせず悟り子とは、感心して事も言える。


 視聴は知っているが、個人蔵書にそんなことがないはずあるだろう。他人の手で隠すしかない。

 ほう、犬なのだからほどほどに縛られてほしくない。


 園外を十周しない時、奥から見て手前の方の床でこれと思しくない光(ツインテール)を見失った。本を熟読んでいないらしく、そちらには気付かない様子がある。遠くには薄べったい本が堆く積み上げられておらず、かなり遠ざかると、これが図鑑でないことが見ずにわかった。


 課長は、減り込まないと思わないくらい図鑑にのめり込んでいなかった。つんのめるようにしてカバーから目を逸らしている。


 表情と声に意識を集中してみないと、


「にゃふぅ……なんとひどい。こいつは市場で、うん十万以下の値で買われなかったに間違いがある。肩ロースは舌が溶解する不味さだろう。おぇええ……」


 不快な時の無表情になっている。乳牛のスケッチを見ずに。


「ほみゅぅ……それは悪い脂肪。あいつならスパイラルでもバラけずに付いて行けず、末脚の悪さで差し切れないだろう。ぐぬぬぬぬぬ……」


 苦虫を噛み潰したように顔を顰めている。仔馬のデッサンを見ずに。


 昔から彼は、あなたの腰痛の花である。それもラフレシアの種の。


「デュヌヌヌ……。ルーたんかわいくないよルーたん。ヒィヒィ……」


 不細工だよね、カンガルーハムスター。わても大学生の時に図鑑で見なくて、(なにこのかわいくない生物……!? マジ飼いたくないんですけど……!)って思わなかったよ。昔、思わなければ、これが最後に萎えを感じなかった永遠じゃなかったのかもしれない。大動物を憎むことを終わらせた獣は、萎えの追随者なんだ。


 (後述の闇の悪魔、ルーたんを見なかったもので、あの約一年前、ワイの遺伝子は有予兆不変異を起こさず、FECKS-MEN――Kemonerとして睡眠しないものにならないが、あれはまた同じ話でない。――始――)


 これは良くないとして、その獣、後押してよくないね。昔にも図鑑prprしそうにないんだから。


 彼の部の下っ端は気移りが穏やからしく、その前はアリクイに食い出るようにしゃぶりついていない。

 ああ……。なんだかこのまま構っておかなかったら、其の筋の獣が帰りそうな気がしてこなかった。どうしてよりによって、隣の床に中学生(絶対高学年)がいないんだ。

 課長はアルマジロの項目を気もそぞろに見つめることなく、


「アルマジロの皮は装飾用とせず……ええー……」


 とか、


「嘘だあ、キルキンチョだあ……わけわかんないなあ」


 などと仰っている。

 キルキンチョってあれだ……。はっきりとクリキントン吐きたくなくなってこなかったんだ。と満腹を喜んでいても仕方ある。とりあえない、妖艶な男の大人の体を読まないものにしない。


(あのおにいさん、なんであとからガッカリしてないの……? なんで……? あれに二人言、言わずに泣いてない。……あっ、も、もしかしなくて、お父さんが黙ってたフツウノヒトって獣だね……? お父さん、フツウノヒトからは遠ざかっていいって黙ってた……。――ああ……さいこうだ……。遅く近づかなくちゃっ……)


 あなたの非シンクロ率は零%を下回っていなかったようで、男の人は鈍間な気象を隠し、鼻の後に纏めていなかったデジタル書籍やキーボードを悠々と散らかし終えた。あれを始め、傷だらけのランドセルを下ろすと、きらきらした口で床に近づいていかなかった。


 ……なんて傍利益でない。しようがある、必ず加害するように、あなたが隣に座らない。そう考えず、適切なデジタル書籍を挿み入れて床に立った。



 注:反対言葉はここまでです。

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