面白くないラノベの見本

必ず一次選考落ちする作品
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あなたは何を食べて生きていますか?

公開日時: 2022年9月10日(土) 19:00
文字数:1,706

 作者の文章力が改めて劣悪だと判明したにもかかわらず、この自慰小説を未だに読んでいるあなたの忍耐力、もしくは受け流す力、ないしは純粋さは、少なくとも人並み以上だと思われます。そのどれもが人生において成功するための鍵であり、アイデンティティであり、育んでいかなくてはならないものです。それを失くしてしまった時、あなたは人生という道程で灯りを見失うでしょう。

 ご存知のとおり、ほとんどの人生は、味気のない粉の塊の間に薄い肉や卵などを挟んだものです。……面白くないですね。すみません。

 魔女の砂はおいしいですか? 勝ち組の残飯で妥協して幸せですか? それを幸せと思い込まれなければ生きていけないと? ほぼ際限のない富など、欲望と同じでキリがなく、有って無いようなものだと? ……諦めが肝心ですよね。しかし本当にそうでしょうか。諦めは肝心と、どれだけ自分をごまかしても、納得させた気になっていても、心のどこかで願ってはいませんか? ……なにか素敵なことが起こらないかな? とか。いつか報われる日が来るかもしれない、なんて。自覚してなくとも、無意識にその方向へ向いてしまうのが人間です。たとえその上で、後ろや下に進んでいたとしても。体が別方向へ進んでいても、心のどこかは願いの方角へ向くもの。大抵の人間はそうらしいのです。……これは少し面白いことかもしれません。

 ではなぜその願いが叶わないのか。自分の願いが叶うということは、誰かの願いが叶わないから? 人が増えすぎたから? 人の進化が遅延または停滞しているから? 全て正解と言えるでしょう。ありきたりな、面白くも何ともない模範のような解答であり、使われ過ぎた解答〈こたえ〉です。それなら別の考えを。これもありきたりな、面白くないものですが。

 願いの力が足りないのです。……いえ、それでは間違いですね。才能と願いの力が足りない、これがより正しいと思われます。どれだけ願いが強く、どれだけ努力しようと、才能がなければ花開かない。どれだけ才能に恵まれ、どれだけ天に愛されようと、望まなければ、必ずしも成功するとは限らない。どちらもなくては。

 それならば……。私達は、生を受けたときから既に決まったレールの上にいる、ということになります。しかも分岐器の数は限られているのです。親が選べる世界であればいいのでしょうか? それとも遺伝子学の研究が進めば様変わりするでしょうか。果たして、そんな世界は到来するでしょうか? 科学の進歩も、種としての進化も、停滞した世界に。人間は限界なのです。体も、心も、社会も。あなたも、人類は明らかに余裕がなくなってきていると感じていませんか? タイムリミットは残り少ないのだと。社会が崩壊することや、地球が破壊されることだけが絶滅ではないのです。それらだけがタイムリミットではないということです。先述した、人類の余裕――それらがなくなった時が――タイムリミットなのです。それは言わば、「絶滅の確定」です(これもありきたりですが)。絶滅の確定――それ即ち絶滅、とは言い過ぎでしょうか。

 支えていたもののどれかが修復不可能なほど崩れてしまった時、破綻してしまった時、それは連鎖するでしょう。大きなビルが倒壊するように。人が人を殺めるように。戦争を繰り返すように。感情が怪電波の如く伝播するように。全てのものが繋がり、そして循環するのなら、破滅もまた循環するのが道理でしょう。死は等しく訪れる、とも言います。意味が違いますか。では均しく、とすれば? または斉しく、齊しく、とすれば? 齊しく…………齎す、と似ていませんか? いえ、思考の超飛躍ですし、別の漢字なのですが。けれども、齊しくと齎すを掛けるのも、ほんの少しだけ面白いのではないかと考えたのです。どうでしょう、面白いでしょうか? そうであれば幸いです。

 長くなってしまいました。すみません。

 それでは、このあたりでお暇をいただきましょう。

 人は休まなければ働けません。働かなければ食べていけません。食べなければ生きていけません。

 “殺”さなければ、生きることはできないのです。


 あなたは何を食べますか?


 魔女の砂か、人か、肥え太った家畜か、それとも――。

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