面白くないラノベの見本

必ず一次選考落ちする作品
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第7章 I got this!!!

aFter schOOL

公開日時: 2022年11月12日(土) 05:00
文字数:1,268

 五限の後もC組を見に行ったが、さしたる変化はなく、六限が終わり、放課後になった。


 悠の調査により、七緒の中学時代の同級生に話を聞くことになった。

 彼女は初め、話をするのを躊躇っていたが、何度も頼み込んでなんとか説得した。


 生徒のいなくなった教室で、互いに他人と知人の中間のような距離間を保ち、言葉を交わした。


「中学時代の七緒さんはどんな感じだった?」

 先生から話は聞いているが、情報は多いに越したことはないだろう。


「えっと……活発で、いつも元気というか、ムードメーカーでみんなのまとめ役、みたいな……」


 俯き加減で呟くように話す。人のことを影で言うのは気が引ける、さらにはそれがどこかへ漏れてしまって自身の立場が危うくなる、そういった事を気にしているのだろうか。学校という場所では無理もない。


「今の七緒さんとはぜんぜん違うね」


「それは……」


 口ごもる。なにか後ろ暗いことでもあるのか。先程のことか?

「そんなに固くならなくていいよ。このことは誰にも言わないから」

 と言っても、簡単には信じてくれないか。今、知り合ったばかりだしな。


「はい……」


「じゃあ、こうしよう。もしこの事がバレたら、俺に無理やり話すよう脅されたって言えばいい」


「え……」

 顔を上げてこちらを見る。そんなに意外だったのか。


「そうすれば、まあ、確実とは言えないけど、ほとんどの罪を俺が被ることで収まるんじゃないかな? 丸くとは行かないかもしれないけど」


「で、でもそれじゃ……!」


 小鳥のような声が少し甲高くなった。


「大丈夫。俺のことは心配しなくていいから。これでも喧嘩には慣れてるし、色々格闘技もかじってる。前に住んでたとこの中学では、番長で通ってて、高校生や悪い大人まで俺には手出しできなかったくらいだから」

 えっへん。ボク、やんちゃ坊主だったのら!

 しかし、


「そんなあからさまな嘘でごまかさないでよ……」


 彼女は視線を落としていて、

「いや、嘘じゃ……」


「志津馬君は知らないんでしょ……」


「え?」

 次に視線を上げたときには、


「いじめられることがどれだけ怖くて苦しくて悲しいか、知らないんでしょ!」


 小鳥遊さんの瞳は泣いていた。

 彼女は立ち上がり、俺を置いていこうとする。

 だから彼女の手を掴み、こう言った。

「知ってるよ」

 続けて、

「知ってる。俺はそれが原因で自殺したんだ。未遂だけどね」

 すると彼女は振り返り、俺の瞳をじっと見つめてきた。

 まるでその時の記憶を、瞳を通して確かめるように。





「だから言ったろ? 嘘じゃないって」


「ううん。あれは嘘。絶対ウソ」

 ありえないから、そんな漫画みたいなの、と続ける小鳥遊とは、いつの間にか打ち解けていた。

 彼女の話によると、中学時代の七緒は、先述の通りの人物だったらしい。七緒とクラスが同じだった時、小鳥遊はいじめに悩まされていたそうだが、彼女を励まし、いじめから守ってくれたのが七緒だったそうだ。

 中学時代の七緒は、いつもそんな感じだったらしい。快活で、悪を許さず、弱きを守るヒーロー、いや、ヒロインか。

 昔の彼女を知る人は誰もがこう呼ぶ。正義の味方、と。小鳥遊の話によればだが。

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