戦いは長く続いた。
どのような形をとっても、どのような戦法をとっても、真っ向からのぶつかり合いでは彼らの戦いは終わらない。
無論である。
同類ゆえに。姉弟ゆえに。
ならばなぜ……。
彼(我)らはなぜ、傷つけ合う……?
本当の家族ではないから……?
お互いに違う存在だから……?
完全でないから……?
殺し合わないと、解り合えないから……?
闘争本能を制御できないから……?
戦争が好きだから……?
……。
…………。
………………………………………………。
否。
されど正。
是。
なれど非。
彼(我)らはすべてわかっている。
我らのすべては不正。
我らのすべては正当。
彼(我)らはすべてわかっていない。
我らのすべては是。
我らのすべては非。
残るものは、感情――心。
彼らには心がない。
我らには心がある。
残るものは、心。
彼らは心を得る。
我らは心を失う。
――彼らは心を得るために戦う。
……我らは、心を失うために……?
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………否。
否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否否断じて否。
志津馬「Wwwwwwwwwwwwwwww杏?wwwwwwwwwwwwwwwW」
「こういうシーン見ると、どうしても滑稽で笑ってしまうことってない? 特に、中二病理解できない人とか、熱血がバカらしい人とか、ある程度社会の荒波に揉まれて、現実が見えてきた社会人とか。俺もそんな感じでね、学生の時は馬鹿真面目に血眼になって読んでたのにw、ある程度の数、作品を見てくると、スーパー中二病シリアスを見る度どうしても笑っちゃってwww フヒヒッw ……ごめん……ヒヒ……ごめんごめw ――ウヘヘィw アヒェヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッw!!!」
彼らが得るために戦うならば……彼らが届かぬものに手を伸ばすならば……。
なれば必定、我らは我らの道を往こうぞ。
――我らは、失わぬ為にこそ、闘おう。
戦争は「闘」争に。戦いは「闘」いに。
殺し合いは活かし合いと補い合いに変えてしまえ。
それでもだめなら、まずは話し合え。
それでもだめなら、妥協点を探し合え。
それでもだめなら、馬鹿にならずに殴り合え。――うそだ。できれば殴るのはやめろ。言葉の応酬ぐらいにしておけ。頭のいい舌戦を繰り広げてみろ。その方がいくらかましだ。口の中が鉄錆の味になるよりかは。
それでもだめなら、闘いを進化に必要なものとでも思い込め。
傷つけ合うのはまだ進化が足りないからだ。傷つけ合うのは進化するためだ。
戦争が人類の著しい変化をもたらしたように、私たちが早く進化するためには荒療治〈強刺激〉が必要なのだ。進化を待っていても恐らく間に合わない。人は無意識的にそれを感じ取っているのだ。だから焦り、藻掻き、進化するために仕方なく周りを巻き込んでしまう。仕方ない、とは言え、その言葉で片づけてしまえば元も子もない。……それは甘えだ。わがままだ。この世に仕方がないことがあることなどわかっているはずだ。それを認められない? 認めたくない? 諦めたくない? そうか。君は純真無垢なのだな。負けず嫌い、とも言えるかもしれない(誉め言葉だ)。人を傷つけてはならない、という自分の信念を疑わず、それを基盤として生きる君の心には優しさがあるのだろう。ならば何も言うまい。確固たる信念があるならば、それを以てどこまで往けるか試してみればいい。その強さが保てるなら、君に私の言葉は不要だ。
……それでもだめなら?
――互いに距離を取るしかないんじゃないか? 結局そこに落ち着くと思う。
それでもだめなら。
……逃げればいいんじゃない? 嫌なら。ただ、逃げ出したらどこまでも堕ちて行ってしまう人にはお勧めしないが(特に居心地のいい微温湯から出てこれなくなる私のような者は厳禁だ)。
それでも……。
一度一人ぼっちになってみるといいかもしれない。見えてくることは色々あると思う。
それでも……それでも……それでも………………。
わかった。じゃあ好きにしろ。ただしこれだけは守れ。人に迷惑をかけるな。人を傷つけるな。悪いことをするな。罪を犯すな。法律を破るな。意外と多いけど頑張れ。俺にはこれぐらいしか言えん。
……相談だと? こんな小男に相談して益があると思うのか? ないとも。断言しよう。やめておけ。頭のいい、信頼のおける人物にでも相談しろ。その方が百倍ましだ。
……いない? なら探せ。そして何とかして取り入れ。人脈を開墾しろ。
……俺に聞きたいことがある? 聞くな。口から出るものは吐瀉物のようなものばかりだ。
……それでも? ははぁ。貴様は俺をバカにしたいのか? それともこの拙作を隅から隅まで穿り返してあーだこーだと困らせるのが目的なのか? そういうことなら今すぐ消えてくれ。俺が振り向いたときにはすでに消え失せていてくれ。この世から。
……嘘だよ。川獺だけどな。
――あー! イライラする! そんなに聞きたいことがあるならさっさと聞けばいいだろう! 今までの時間と空白を返してくれ。……できないだろうが。時間と空白は有限なんだよ。わかったか。わかったなら俺に言いたいことを今すぐ吐き出して、天上人の何百分の一か――何千か何万か知らんが――自分の残り少ない人生を楽して生きられるように頑張ったらどうだ。楽するために努力するというのも皮肉ではあるがな。……馬鹿め。それだけじゃないんだよ、それだけじゃ。それくらいバカでもわかるだろうが。
……さあ、話せ。…………。……なに? クラスに好きな人がいるけど先輩にぞっこん?
……はぁ。
――ぞっこんどうでもいい話だな!!! 帰れ! 出ていけ! ほら! しっしっ! いいか! お前がそのドアを閉めてすることは一つだ! わかるな!? ぶち当たれ! 今すぐにだ! ――違う! 誰がドアに体当たりしろと言った!! お前が言いたいことを言うべき人に言えと言ってるんだ! ……相手の事情? そんなものを気にしていたら持って行かなくていいものを墓まで持って行くことになるぞ戯けが! 体当たりしろ! 体じゃなく心に体当たりしろ! そして盛大に砕けろ! 砕けて塵芥〈ちりあくた〉になってしまえ!
(相談者退出)
……そうして塵芥〈じんかい〉から己を再構築しろ。できない場合は、誰かに頼れ。頼るところがなければ、ここに来い。ただし……まず真っ先に大声で笑ってやるがなっ! それでもよければここへ来い。諦めきれなければ作戦でも練って何度でもぶつかればいい。やれることやってそれでだめでも、十年後はわからん。それこそ生きてさえいればわからん。寝たきりになった後で添い遂げられる可能性も万に一つや二つはあるだろうよ。……それはそれで面白いじゃないか。
さて。――そこの貴様。そう。俺を見てる貴様だよ。
悪いがもう店仕舞いだ。もう俺が話すこともないし、大仰に語ることもない。
――ああ、つまりネタがないんだよ。ネタもないしタネもない。……ほらみろ。こんな下らんことしか言えん。
とにかく帰ってくれ。
……ここが家〈うち〉だと? ……違うな。そこはお前の家じゃない。俺の家だ。わかるだろう? 俺の言ってることくらい。
現実に目を向けろ、とか説教臭いこと言ってるんじゃない。ここにいるなとも言ってないし、出て行けとも言ってない。
『かえってくれ』、と言ってるんだ。
わかるな? 漢字で言うと?
…………。
……そう、それだ。いくつか候補があるかもしれんが、ふざけてなければ大方正解だろう。ふざけて何か面白いネタになったら教えろ。こちとら寿司のネタが万年枯渇状態でな。自転車操業なんだよ。
まあ、それはさておき。貴様は……いや。んんっ。あなたは――。…………。言ってて気持ち悪いな。――この世界が終わる、と最近、思ってないか? 『かえって』しまうと、この世界から離れなければならない。それが名残惜しい、たとえクソ駄作だとしても、元の世界に戻るのは嫌だ、面倒くさい、疲れた、飽きた、面白くない、『かえりたくない』、寂しい、なんて、バカげたことを考えているんじゃないか? そう、あなたはそうでなくとも、あなたとかは。
いや、あなたをバカだと言っているわけじゃないから悪しからず。無論、誰がバカかは語るべくもなく、ということで、ありがおつ。
…………。
噛んじゃった…………。
ありがとう。
まあ、どう思おうがその人の勝手なので構わないが、とにかく、何かを思ったり考えたりさせられただけで私は満足だ。
「――こいつは何を言っているwwwwwwwwwwwwwウェヒヒヒヒヒ! ……え? あ、あ! あああ! ――あばぁああああああああああああくああああああああああろああああああんあああああびああああああああいいいいいいいいぃぃいぃぃいぃぃぃぃ……」
志津馬は頭上から降ってきた超弩級戦艦に圧し潰され塵芥と化した。
話を戻すと、――この世界は終わらない。なぜか。そんなこと説明するまでもない。――きみだよ。君がこの世界の後継者――は言い過ぎかもしれないが、君がこの世界をひろげていくからだ(誰かに話す、話さないにしても)。
この世界を宣伝してくれとか、野暮なことを言ってるわけじゃあない。確かにお金は欲しいけど……、――ちがうだろ? そうじゃないんだ。
君はここで、一つの世界と出会った(馬鹿で出鱈目で巫山戯た世界かもしれないが……)。
全部読んで単語の意味まで調べてくれた人も、速読でなんとなく内容を把握した人も、挿絵の辺りだけとか、――がついたところだけ読んでくれた人だって、多かれ少なかれ、この世界に触れてくれた人なんだ。それは例えて言えば、なんとなく進学した先の学校で、なんとなく気が合って友達になった人との出逢い、みたいなもの、かな。……少し言いすぎな気もするけど、巧い言い方が見つからない。
人との出逢いも一つの世界との出逢いだってわかるだろう? もしかしたら、それが当たり前になっていて、それがどうしたの? と思うかもしれないけど。
そうだね……ぼくの気持ちをありのままに言うと、こうなる。
あなたに出逢えてよかった!
きみはどうかな? この世界に出逢えてよかった? そう思ってくれたらうれしいのだけど、ぼくはぼくの力の弱さを知っているからね。多分、そう思う人だけじゃないだろうね。意味が解らない、暇つぶしにもならなかった、つまらない、意外性がない、文章力皆無、枚挙に暇がないけれど、そんな人には、謝らないといけない。
……ごめんなさい。……ぼくの力が足りなくて、ごめんなさい。
あなたたちの大切な時間を奪ってしまった僕には罪があるのかもしれない。いや、あるのだろうね。
でも、ぼく一人じゃその罪は償えないし、背負うこと、覚えて噛みしめ続けることくらいしかできない。もしくは、もっと勉強して、この世界よりすごい世界を作ることでも、償いはできるのかな。できればそうなりたいな。
話を戻そう。
どう思ってくれたにせよ、多分、何かしらの形で、きみの血肉になっているとぼくは思う。現にぼくが、(あー、この話見てたな。あまり面白くなかったけど……)なんて思うことがよくあるから。
そうやって、きみの世界のほんの一部分に、この世界がなっていたら、……これ以上のことはない……なんて、形式ばったことは言わない。
ただ……ただただうれしいんだ。すごくね。とてもうれしい。
なんだかそう……自分が見知らぬ人の助けになれていたらと思うと、泣いてしまうほどうれしいんだ。
ああ、本当にそうなっていたらいいな。
でも、そうじゃなかったら悲しいな……。
ごめん、卑屈なのは見ていてうっとうしいよね。
そうだね。ポジティブに考えることにするよ。
……え? 全然、面白く、なかった……? こんなもの、燃やして暖を取るしか、能がない……? ………………。……そっか。……そうだよね。ぼくが作ったものなんて、ただの自己満足で、自己中心的で、独り善がりで、わがままで………………あはは。うん。ほんとはわかってたんだ。自分でも『こんなもの』って。『こんなものじゃだめだな』って。『もっとうまくならないと』って。
……わかっていても、悲しいね。辛いね。苦しいね。自分の思い通りにできないのは。自分の思い通りにならないのは。
自分がしたくないことを強制されるのは本当につらいことだと思うけど、自分が心の底からやりたいと思うことができないのも、胸が苦しいね。涙が出そうになる。
でもこれが現実。これが真実。ぼくはそれを受け止めないといけな――――。
……え? いいから早くしろ……? …………。え、えっと……?
……? そんなことはいいから続きを見せろ……? その後でさんざん批評してやるから…………?
………………。
……あ……えっと…………それじゃ、はい!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!