それぞれがそれぞれの目的のため、意識を一点に集中する。その、どこか不思議で静謐な空気の中、
「いひひひひひひひ」
あぁ、またか、またなのか。ホント、期待を裏切ってくれないよね……。
――ボツもらったところのダイジェスト↓――
あー。えー。ここから下は個人的にも面白くなく、作者が自分のミジンコタレントに納得がいかないらしいのでダイジェストでお送りするよ。ではどうぞ。
基本的にはさっきやったことと変わらないし、今までやってきたことと何ら変わらないんじゃないかな。
部長がふざけて、俺が振り回されて……っていう同じパターン。それも削ることにした一因でもあるね。
映画製作では定番らしいけど、冗長な部分とか、面白くないところ、余計なところを削る作業ってとても重要みたいだ。まあ、それは何にでも言えることかもしれないけど、映画においては観客を飽きさせないために特に重要らしい。これもそれと似たようなもんだね。要らないところは削除するし、面白くないところは何らかの処置をする。作者の作品の場合、ハードディスクごと復元不可設定で全削除しないといけないレベルなんだけど、仕方ないよね。才能も経験も努力も何もかもが足りない、ないない尽くしの他人の作品にゴチになることしかできないぐるぐるナインリィナイン・アンド・つくしちゃん状態なんだから(今、君が想像したグルメバラエティや、コンクリーロード映画とは何の関係もないよ?)。
おっとごめん。また要らないことを長々とくっちゃべるところだった。
この先の文章を一文に集約すると、次のようになる。
部長がペーンデヤルートアブナイヨー(一時期流行ったアレね)を仕掛けてきて、俺がそれを無視し続けて、隣の女子がそれを見て笑いまくって、で、最後には俺が神になる。
どう? わかったでしょ? この先が削られた理由が。
ウィットに乏しい、意外性もクソもないただの与太話(与太郎が作った話)。
――わーお! なんてこった! この作品全部が! 与太話だったよ! ネタバレ全部しちゃったみたいなもんじゃないか! ははは。これでこの作品を読み続ける意味がなくなったかな。それじゃあここで本? を閉じちゃおう。そうすれば君の大事な時間を浪費させなくて済む。それに俺から一つアドバイスすると、……この作品は最後まで読まない方がいい(小声)。なぜかって? それはこの作品を読むと、『変身』を読んだ時みたいにオカシクなっちゃうかもしれないからだよ(余談:ライダーの「変身」はこの作品のタイトルに由来するんだって)。まあ、『毒虫』には到底及ばないけど、多分、毛虫か芋虫くらいにはオカシクなっちゃうかもしれないね。尺取虫とか(俺はあのクレイアニメが大好きだ)。
実を言うと、この作品の作者はバイオ7のエヴリンなんだ。ごめんウソ。正確にはエヴリンと同じじゃない。エヴリンは、「どうしてみんなわたしを嫌うの?」とか何とか言ってたけど、作者はその理由を自覚してる。わかってて周りにヴァイルスを撒き散らしてるんだ。エブリンとは違うベクトルで質が悪いよね。
どうしてこんなアドバイスをするのかと言うと、俺は作者にほんの少し残った――良心の残滓だからさ。いわゆるビフィズス菌(善玉)ってやつ。作者のブドウ球菌(悪玉)を癌とするなら、作者はそのカニさんに体の半分以上を貪り尽くされてる。つまり俺たち善玉や善悪に属さない部分が、そのキャンスァー(水中型MS。MA?)に丸齧り(クローで捕獲されてコクピットに魚雷を撃ち込まれる)されようとしてるってわけ。いずれ全部食い尽くされて、多分、最後には悪に目覚めた「どくどく」持ちのエグイキョダイキングラー(ハサミギロチン覚え済)になっちゃう。
何が言いたいかと言うと、この作品を最後まで読んでオカシクなったとしても、ブドウ球菌は責任を負う力がないし、一切関与しない、自分は警告した、あなたが選んだことだ、なんて言うつもりってこと。逃げるつもりなんだよ、ヤツ(俺)は。
まあ、オカシクなるかどうかは眉唾もんだし、それもわかる人にしかわからない代物かもだし、大抵の人は「なんだそんなこと? 白けた」とか、「何言ってんだこいつ」、「頭イってるぞこの作者w」、とか思っちゃうんだろうけどさ。でも可能性はゼロじゃないんだ。種は蒔かれてしまう。何の可能性か? オカシクなる可能性じゃないぜ? ――共感してしまう可能性、だよ。多分だけど、共感してしまうと、オカシクなる可能性は高くなると思う。それでも、共感してしまっても本をポイ捨てする可能性の方が断然高いんだろうけど……。……それでもまだ読む? 読んじゃう? そこまで警告する価値もないかもだけど。
…………。
オーケー。わかった。でも一つだけ約束してくれ。もしコレを最後まで飽きずに読んだとして、――悪い方向へ向かわない、と。既に悪い方へ進んでいても、それを悪化させたりしない、って。
それだけ。俺からはそれだけさ。
クソ話を長ったらしいクズ話で勿体ぶって悪いね。
じゃあ続き。とりあえずペーンデヤルートアブナイヨーのところだけ抜粋してお送りしようか。
――みんな。考えるな、感じるんだ……! ユニコーンの角の先っちょで……!
ニコ動の恐るべきネタ、恵方巻デqueue!
ピンク髪がなぜ強いのかを悩んでいたら、視界の端に物体Xが。
……匍匐前進。
志津馬は緑のベレー帽を脱いで、棺の中で両手を組む友に、借り受けていたへこみのある幸運のコイン(純度九十九点九八%の鉛製)を握らせてやった。
「今更だが……疑ってすまなかった……。確かにそれは幸運のコインだったよ……」
そのコインは戦場で志津馬の命を奇跡的に救ったコインであった。
「いひひひひひひひ…………ひっひっふぅーみっみっんー……」
やめたげてよお! もうあの子の腹筋は崩壊済みよ! と闇アイリスが言った。
いや、ここで「Be quiet!!!」とか「Don't do that!!!」と叱ってもいいんだけど、俺は将来寛容なお父さんになりたいので、気づいてないふりに徹しようと思います。ハイハイしてる頃はあたたかく見守ってあげないといけないって言うしね。
一児の親になる覚悟を固めていると、背中に寒気を感じた。
背後から這い寄ってきたそれは、背中に沿って何かを動かし……。
ほてっぷー!
肩の辺りで動きを止めたかと思うと……。
ポンポン。
そこで勝利を確信した。
トントントン。
無視!
「くくくくく……!」
タンタンタン。
黙殺!
「ふふふふふ……!」
ペシペシペシ。
知らんぷり!
「ぷぷぷぷぷっ……!」
テシテシテシ。
素知らぬ顔!
「ひひひひひ……!」
バンバンバン!
ネグレクトゥッ!
「へへへへへ」
バシッバシッバシッ!
俺は……神だ。
「いひひひっイチチチチチッ……!」
…………。
延々と無視し続けた結果、肩を叩く手が止んだ。
勝利! 勝負! 勝った! 勝! フハハハハハハハ! バルカディア・NEX召喚!
勝利の余韻に浸っていると、
「ぶふっ!」
両頬にぴと、という感触。さらに、
ツンツン、ツンツン。
「ふひひひひひひひっ」
あははぁ、なんで両側に感触があるんですかねえ? おかしいですねえ?
って――。
「――それ反則だろうがコラァッ!!」
手をはねのけ立ち上がった。そして脳天に手刀を叩き込もうと思い切り振り上げた直後――、
「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
バンバンバンバンバンバン!
振り下ろされたのは彼女の手で、ゆえに俺のそれが空を切ることはなかった。
……どんだけ笑うねん。
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