本来、太陽と月は交わらないものである。
日食・月食あれど、実際は他天体から見た光の遮りであり、ただ天体の移動軸が一直線に重なっているだけである。
――交わっているじゃないか。
……。
交わっていた。
すまない。私の考えがおかしかったようだ。起き抜けで頭が回っていないらしい。
……起き抜け? なぜ私は眠っていた……?
……私? 私とは誰だ? 私とはなんだ……?
これはなに……? それはなに……? あれは…………。
ああ。そうか。
やはり私は間違っていなかった。
今まで太陽と月は交わることはなかった。
しかし今……。確かに両者は交わった。強く。大きく。
今も確かに相対している。
それこそが……。
――「私」が今ここにいる理由。
そして……。
――「我々」が今ここにいる理由だ。
……そう。我々はいなくなったのではない。
――彼らの中に存在していたのだ。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!