面白くないラノベの見本

必ず一次選考落ちする作品
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EXPOSure Of trIck NuLl

公開日時: 2023年9月20日(水) 06:00
文字数:1,651

 これから語るのは、後になってわかったことだ。


 まず、部長は先生が裏で動いていたことは知らなかった(アマテラスが知っていたかは不明である)。


 次に、部長が俺の名前を知っていたことについて。

 悠に自分のことを訊かれた時、反対に訊いたらしい。しかしそうすると、部長は悠が俺のことを知っていると承知していたことになるのだが、実際そうだったようだ。俺が部活見学をする前に悠と話していたのを見聞きしたらしい。

 そこからさらに考えられるのは、悠が談話部と部長のことを調べているのであれば、部がないこと・自分が七緒及び部長であること・普段は違う気質であること、それらが俺にすぐバレてしまう可能性を、承知の上だったということである。これもその通りだったようで、悠に遭遇しなければ、自宅前で全てを明かし、その上で同好会の構成員を頼む予定だったらしい。


 部活見学をした日、部長はいつ容姿を変えたのか、という疑問について。

 俺は尾けられる前かと思っていたのだが、全きを期せておらず、手抜かりがあった。

 一つは、部活見学をしている俺を尾けている時、部活初日のように髪型を変えていなかったこと。もう一つは、俺を気絶させ、『第二会議室へ移動させてから』別人を装っていたこと(つまり尾行中に誰かに見られていた可能性があるということなのだが、悠の調査では運良く引っ掛からなかったらしい)。自分のことを知らないとは言え、どこかで見られ、容姿を覚えられているかもしれない。部屋に着いてからそう思った部長は、眼鏡を掛け、変装することにした。そして、部活初日は外出時のことも考えて髪型も変えた、というわけだ。


 部長はいつから騙す気でいたのか、という疑問について。

 それは最初からである。俺に声をかけ、第二会議室で勧誘するつもりだった。想定外だったことは、衝突してしまったことと、それによって勧誘が後ろ倒しになってしまったこと、先述した変装の要不要に後から気付いたことか。


 俺が部長に手渡した入部届について。

 部長が俺から受け取り、直隠しにしていた。


 部がなかったのであれば、第二会議室とは何であったのか、という疑問について。

 第二会議室は部長が偶さかに見つけた、常時、鍵の掛けられていない部屋だったに過ぎない。先生に顧問を頼んだ時、普段使われていない第二会議室を使わせてほしいと告げていたようだ。


 勧誘をした生徒について。

 俺・七鳥・花崎は別々のクラスだった。もちろん部長も俺達とは違うクラスだった。では喫茶店のバイトはと言うと、七鳥以外が他校の生徒で、彼女らは部長を常連ということ以外知らなかった。無論、部長のことも知らなかった。

 カフワに出入りする時は、眼鏡を掛けて変装(とまで言えるのかどうか疑問だが)していたらしい。それのみならず、初日の部活以降、部長として振る舞う時は、事前に眼鏡を掛けて髪をポニーテールにするようにしていたとのこと。際どい変装ではあるが、入学して日が浅い時期なら、そう容易くは看破されることはない、とは言えるかもしれない。


 先生の言っていた、部長とダリの類似点について。

 ダリにとって奇行が自らを守る鎧・仮面であったのに対し、部長にとっては美人で良識人の七緒水月がそれであった。そしてそれこそが、両者の相通ずるところだったのである。しかし部長のそれは、人間の誰しもが無意識的に形作り纏っているもので、ざらにあり、おかしいものではない。そういった意味が、先生の言葉には込められていた。

 それなら部長はどこが変人なのか……。先生が言った、「変人」、この言葉にも、二重の意味が込められている。本性も変人かもしれない。しかし先生が言いたいことはそれではなかったのだ。部長の変人の部分――それは、自分(らしさ)を出さな過ぎるところ。先生が言いたかったことは、おそらくそれだろう。

 ちなみに、先生にアマテラスのことは話していない。と言うより、博士以外の誰にも打ち明けてはいない。


 こんなことは下らなく、枝葉のようではあるが、最後に。

 悠のノートには「1位」と書かれていた。

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