第1章
俺は勇者で仲間もいた。
だが、俺は孤独だった。
最終決戦で魔王と対峙した時、仲間が俺を置いて逃げたのだ。
仲間の裏切りを背後に残し、独り、前方に立ちはだかる魔王に挑み――勝った。
だが、結果はほぼ相討ち。
絶命必死の死に体で、俺は瓦礫の山に囲まれて終わりの時を待っていた。
仲間の裏切りという”絶望”に溺れる最中、『新たな魔王』の囁きが福音を告げた。
『新たな魔王』は銀色の長髪を靡かせた幼女の姿で俺の前に現れた。瘴気のようなもので素顔を隠し、口元に笑みを浮かべ、俺の”憎悪”を煽った。
彼女は、魔王の『真性』をもって、”復讐”の道へと駆り立てたのだ。
信じるものをなくし、”契約”という形に縋る哀れな勇者の成れの果て。
自嘲することすらできない俺に、彼女は俺に”契約”を持ちかけた。仲間に”復讐”するための肉体と力を与えるという。”復讐”に駆られた俺は、言われるがままに”契約”を実行するが――”魔王の力”と”勇者の力”で超無双! なんて”力”は得られなかった。
”契約”の代価として、これまで培ってきた”能力”を全て失ったのだ。
しかし、かつての仲間の力は絶大。”能力”を失った俺が勝てるわけもなく、文字通りゼロからのリスタート。
『新たな魔王』との”契約”を終え現世に戻るも、落とされた場所は《飛竜の巣》のど真ん中!?
”復讐”を誓い舞い戻って早々、絶対絶命の大ピンチ――、
「あいつ、わざとここに戻したな――――!?」
”復讐”を誓い、魔王と”契約”した元勇者の物語がここに紡がれる――。
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