なんで高跳びを始めたのか。
そのことを考える時間が、何度かあった。
部屋に戻って、「インターハイ出場」と書かれた貼り紙を見た。
勢いのままに走り書きした文字。
この家に引っ越してきた日に、自分で書いた。
飛ぶことだけが、あの時の私の全てだったから。
初めて飛んだのは、小学生の時だった。
小学生の頃、地元では町と郡で陸上大会があって、高学年の生徒、——特に6年生は強制参加だった。
毎年、夏休みが終わると5〜6年生が放課後に毎日残って練習をさせられていた。
低学年の頃からその光景を見ていて、心底「やりたくないなぁ…」と思っていた。
4年生になって、好きな種目の練習に参加しなさいと言われた時、迷わず走り高跳びを選んだ。
どっちみち体を動かすのは好きじゃなかった。
でも、授業の一環で初めて飛んだ時から、やるとするなら「高跳び」って決めていた。
私の他に高跳びをやる子は、同級生では1人しかいなかった。
小学校では、高跳びを教えられる先生はいなかった。
田舎だったし、当然っちゃ当然の話なんだけど、そのせいでルールがまばらだった。
背面跳びをやる子もいれば、ベリーロールをやる子も。
当時、身長が140センチちょっとだった私は、はさみ跳びだと110センチまでしか跳べなかった。
115センチは何回か偶然跳べたっていう程度で、120センチは一度も跳べたことがなかった。
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