結局その後、ルイス王子は用事があるとか言って私達の側から離れて行った。
私はちょうど良い機会だと思ったので、カルロにルイス王子から度々言い寄られて困っているということを正直に告げた。
「そうか、ルイス王子が...あの方にも困ったもんだな...」
「多分なんだけど...あの方が見ていらっしゃるのは私じゃなくて、聖女っていうブランドの方だって気がするのよ...」
心の声を読んだんだから、多分じゃなくて確実なのは分かってるけと、ここはしおらしくしておかないとね。
「なるほど...そういうことか...分かった。僕から国王陛下と王妃陛下に強く言っておくことにするよ。ルイス王子と隣国の第2王女との縁談を早く進めるようにってね」
「第2王女との縁談!? そんな話が来ているの!?」
初耳だわ。
「あぁ、君も知っての通り、隣国の王妃は僕の叔母に当たる方だからね。叔母上から両国の友好を深めるって意味でも王族同士の婚姻を強く勧められているんだよ。それをあのルイス王子はこれまでものらりくらりとかわして躱しているんだけど、さすがにもう二十歳過ぎだからね。いい加減身を固めて貰わないと困る。その理由がリタにあるんだとしたら尚更だよ。絶対にリタは渡さないから! 安心して! ルイス王子には指一本触れさせないからね! さっさと隣国へ婿入りさせてみせるから!」
「カルロ...ありがとう...」
私は感激して涙が出そうになった。カルロに相談して良かった! これで一安心だ!
...そう思っていた時期が私にもありました...
◇◇◇
「えっと.. ルイス王子...なんで我が家にいらっしゃるんですかね...」
「ツレナイなぁ。麗しのリタにわざわざ会いに来たというのに、私を歓迎してくれないのかい?」
「いえ、そういうことじゃなくてですね...」
信じられる? 昨日の今日で先触れも無しに急に訪れるなんて! これはあれだな。あの後カルロが言った通り、両陛下から相当強く言われたんできっと焦ってるんだな。心の声を拾ってみる。
『冗談じゃない! なんで私が隣国へ婿入りせにゃならんのだ! この国の王位を継ぐのはこの私だ! 父上も母上もどうして分かってくれないんだ! くそぉ! こうなったら多少強引な手を使ってでも聖女をモノにして逆転を狙うしかない!』
ヤバい思想というか妄想に取り憑かれているな...さて、どうしたものか...その時、視界の隅にチラッと映った影が。これだ!
「リズ! あなたもこっちにいらっしゃいな! ルイス王子様にご挨拶しなさい!」
最終人形決戦兵器リズちゃん発進! なんちゃって♪
「まぁまぁ、王子様~♪ リズと申します~♪ どうぞよしなに~♪」
「あ、あぁ、よろしく...」
「では後はお若い人同士で♪」
「えっ!? ちょっ!? 待っ!?」
待たない! リズちゃん、後はヨロシク♪
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