「ね、ねぇ...本当にその格好で行くの!?」
「もちろんですわ! これで変装はバッチリですの!」
「うん、これなら絶対バレないよね」
カルロとララの二人は、共にカツラを被って髪の色を変え、更にビン底メガネを掛けて瞳の色を誤魔化している。確かに一見しただけじゃ誰だか分からない。
「私、いっぺんこういう格好をしてみたかったんですの! なんだかワクワクしますわね!」
「僕もだよ。こういう時でもないと着る機会なんて無いからね」
なんだか楽しそうだなお前ら...確かにララが侍女服着るのも、カルロが執事服着るのも、まず有り得ないことだからね。コスプレを楽しんでる気分なんだろうけどさ。
ともあれ準備は万端整った。いざお茶会へ!
◇◇◇
お茶会は王宮の一角を貸し切りにして行うみたいだ。となると当然、我が国の王族の方々もお呼ばれする訳で、王妃様と第1王女殿下がユミ王女と同じテーブルに着いている。
そしてなぜか私まで同じテーブルなんだけど...めっちゃ緊張する...きっとこれも地味な嫌がらせの一つなんだろうな...
カルロとララはさりげなく私の背後に控えてくれている。今の所、ユミ王女は気付いていないみたいなんでホッと胸を撫で下ろした。
「皆様、ようこそお越し下さいました。本日はごゆるりとお楽しみ下さいませ」
ユミ王女の挨拶が終わっていよいよお茶会がスタートした。
◇◇◇
「リタ様は聖女様でいらっしゃるそうで。高尚な使命ご苦労様ですわね」
「あ、ありがとうございます...」
「更にあのカルロ様の婚約者でもあられるとか。羨ましい限りですわ。どちらか一方を譲って欲しいくらいですわね」
「きょ、恐縮です...」
いきなりガンガン飛ばしてくるな...どちらかって...お前は聖女になんか興味ねぇだろ...カルロ一択じゃねぇか...
後ろでカルロの顔が引き攣っているのが見なくても分かる。
「さぁさぁ、皆様。本日は我が国自慢の茶葉をご用意致しましたの。存分にご賞味下さいませ」
来たな。仕掛けて来るとしたらここだ。ララの時みたいに私のお茶にだけ何か入れたりするんだろうな。
私はユミ王女の心の声を拾ってみた。
『フフフッ! あなたのだけ即効性の媚薬入りよ。すぐに効いて来るからせいぜい悶えるといいわ。頃合いを見計らって別室に連れ込めば、私の手合いの者が待ってるからたっぷり楽しんで来なさいな。フフフッ! 汚されたあなたなんかきっとカルロ様に捨てられるわね。良い気味だわ』
なるほどね。ミカと同じ手で来たか。
そうは問屋が卸さないっての!
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