次の日から私達はお昼休み、全員でカルロを包囲? して食堂に向かうことにした。
ユミ王女は学年が私達の1個下なので、会える機会はお昼休みか放課後しかない。しばらくは放課後も全員で包囲? して近付けさせないつもりだ。
懸念していた不敬に当たるんでは? という件に関しては、ララが大丈夫だと言ってた通り、特に何もなかった。ちょっとホッとした。
やっぱり隣国でもユミ王女の立場ってそんなもんなんだなと少し安心した。
「なんか申し訳ないな...」
カルロが周りを囲む私達を見てそう呟いた。
「仕方ないわよ。しばらくは我慢しなさい。それにね」
私は三人娘とララを見やりながら、
「割とみんな楽しんでるみたいだからいいんじゃない?」
とカルロにだけ聞こえるように呟き返した。
だってまるでVIPを守るSPみたいに辺りを警戒してるんだもん。ギョロギョロと周りの人達を睨み付けながらさ。あれって絶対楽しんでるよね? SPになりきったみたいにさ。
◇◇◇
私達が集団で食堂に着くとみんなが道を開ける。そりゃそうだ。私だって近寄りたくないわ。
ユミ王女はと見ると、苦虫を噛み潰したような顔をしてこっちを睨み付けている。でも昨日で懲りたのか、近寄っては来ない。
SP? が睨みを利かせているからね。
「こっちを凄い見てるな...」
「あれは諦めていない顔だね...カルロ、気を付けて。絶対に1人にならないようにね?」
するとカルロが苦笑した。
「なに!? どうかした!?」
「いやなに、ついこの間までは僕が君に同じことを言ってたなと思ってさ」
「あぁ、確かに...」
カナとルイス元王子の時ね。
「心配してくれてありがとう。でも僕は男だから大丈夫だよ。力尽くで来られても屈したりしないからさ」
「そうね...でも油断はしないでね?」
「うん、分かってる」
結局その日は何も起こらなかった。放課後もユミ王女は近寄って来なかった。しばらくは大人しくしてるのかな? と思ってたら、
「お嬢様、お手紙が来ております」
家に帰って早々に執事が手紙を持って来た。誰からだろう? と思って封を開けると、
「なるほど、そう来たか...」
それはユミ王女主宰の舞踏会への招待状だった。ご丁寧にパートナー同伴でとデッカく書かれている。学園ではカルロに近寄れないから搦め手で来たと。
さてどうしたものか...出席しないって手もあるけど...それだとまた招待状が来て参加するまでその繰り返しになりそうな気がするな...
取り敢えず私は、同じ物が届いていると思われるカルロに連絡することにした。
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