今日から新しい学年になる。
私とカルロ、ルナは最終学年だ。リズとミラもなんとか進級できたみたいだ。そして今年の新入生には...
「あらぁ、聖女様ぁ。制服姿でもやっぱりパッとしないわねぇ。やっぱり伯爵風情だと品格が足りないのねぇ」
そう、マナが入学して来たのだ。騒がしくなりそうだからあんまり関わらないようにしよう。まぁ学年が二つも違うから、それほど関わることも無いだろう。
それにコイツは、聖女の座を私に奪われたと思って絡んで来ているだけで、カルロを巡るライバルって訳じゃないからまだいい。
だが問題はもう一人の方...
「全くよね。マナ、あなたの方がよっぽど聖女に相応しいわ。神様も見る目が無いわよねぇ」
堂々と神に対して不敬なことを宣っているコイツは、マナと同じ侯爵令嬢で親友でもあるカナだ。神をも畏れぬ不遜な態度、カミナリに打たれてしまえ! 神よ、どうかこの不信心者に天罰を! なんてな。
しかもコイツの心の声を拾ってみたら...
『フンッ! こんな冴えない女は、聖女にもカルロ様にも相応しくないわ! 見てらっしゃい! やっと同じ学園に通えるようになったんだから、カルロ様に猛アピールしてやるわ! 身分的にも美しさ的にも侯爵令嬢たる私が、あの凛々しいカルロ様にはお似合いなのよ! 聖女だかなんだか知らないけど、あんな女になんか負けないわ!』
面倒だな...しかも身分が高いから厄介だ...まぁ、あまりにも目に余るようなら、同じ侯爵令嬢であるララに相談しよう...
◇◇◇
お昼休み。ここ最近、三人娘は纏わり付いて来なくなった。完全にルイス王子へとターゲットを変更したようだ。
だが、平和で良かったのは昨日までってことになりそうだ...
「カルロ様ぁ~♪ お久し振りですぅ~♪ カナはお会いしとうございましたぁ~♪」
「か、カナ嬢...久し振りだね...入学おめでとう...」
「ありがとうございますぅ~♪ カナは嬉しゅうございますぅ~♪」
「う、うん、それはいいんだけど...ちょっと離れて貰えるかな...」
この距離感は...あの三人娘でもさすがにここまではしなかったぞ...ほとんど抱き付いているじゃねぇか...さすがに注意しようと思った時だった。
「あなたいい加減にしなさい! なんて端たない! 淑女として恥ずかしいと思わないの!?」
「な、なによアンタ! この私を誰だと思って...あっ..」
後で頼ろうかと思っていたララがやって来て嗜めてくれた。さすがに相手が悪いと思ったのか、カナは固まってしまったようだ。。
「全くもう! あなたって人は! 一体なに考えてるの!? 大体ねぇ...」
ララの説教をカナが大人しく聞いてる間に、私とカルロはそっとこの場を離れた。
ありがとう! ララ!
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