私は神殿に戻ってすぐに大司教様に報告した。
「そうですか...そんなことが...分かりました。あの侯爵領は今後の巡礼先から外すことにします」
「お願いします。それと大司教様、マリーの神力を調べてみてもよろしいでしょうか?」
「それは構いませんが、急にどうしました?」
「えぇ、実は...」
私は侯爵領の教会での出来事を大司教様に伝えた。
「なるほど。分かりました。許可しましょう」
「ありがとうございます」
◇◇◇
神力を測るには神殿の奥に安置してある特別な水晶玉を使って行う。私は大司教様の許可の元、安置場所から持ち出し自分の部屋に持って来た。
「マリー、この水晶玉に触れてみて?」
「は、はい...」
マリーが恐る恐る水晶玉に触れた途端、部屋が目映い光に包まれた。
「うおっ!?」
思わず変な声が出た。そのくらいビックリした。
「あ、あの...わ、私、なんかマズいことしちゃいました!?」
「いやいや、そうじゃなくてね...マリーの神力が桁違いだっていうことだけ。ちゃんと測ってなかった私が悪いんで、マリーはなにも悪くないよ。安心して」
言い訳させて貰うとさ...全く修行をしてなかったマリーの神力がだよ? こんなに高いだなんて思う訳ないじゃん! 私悪くないよね!?
って、そんなこと思ってる場合じゃないな...どうやらマリーの神力は先天的なものらしい。生まれながらにして聖女になるべき存在だってことか。
さてどうしたものか...マリーの神力は明らかに私より高い。レイやアミとは比べ物にもならないくらいだ。
私の手に負えないので大司教様に相談しよう...
◇◇◇
「なんと...それは本当ですか!?」
「はい...私も驚きました...マリーは、あの子は本物です...」
「ううむ...まさかこんなことになるなんて...」
「聖女の最終候補を決定するのが早過ぎたんでしょうか...」
「いえ、私はそうは思いません。聖女になるには神力が高いのはもちろんのこと、聖女としての相応しい立ち振舞いや教養も必要になりますからね」
「あぁ、確かにそうですよね」
当然ながらマリーはその辺りが全く足りてない。孤児院育ちなんだから当たり前なんだけど。
「取り敢えず、マリーにはこのまま聖女としての修行を続けさせましょう。レイとアミにはマリーのことを当面伏せておくことにします」
「分かりました」
マリーの件に関しては、私と大司教様だけの秘密ってことで。
特にレイとアミには知られないようにしないといけないな。
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