「話をしよう」
気が付くと俺は暗闇に一人いた。見えるのは自分の手足だけで、後は真っ暗。そんな暗闇の中にいた。身体を動かそうと思っても動かない。金縛りにあったみたいだった。
「何も気にせず、ただ私の声だけ聴いてくれれば良い」
その声は頭に直接響くように聞こえてくる。
「君を呼んだのは私だ。色々な世界を眺めてきたが、君に目が留まった。君に素質があったからさ」
どこか艶めかしい女性の声だ。
「君はこれからどんどん私に近づいていく。おそらく…私の因子は世界の壁すら超えてしまったのだろう。なかなか驚きだよ。あぁ…会える日が楽しみだ…本当に」
声を出そうにも声は出ない。やっぱり腕も足も動かせない。
「心配はいらない。採って喰おうって訳じゃないさ。私は君に期待しているだけだから。君ならば、今の世界の現状を変えられる気がするんだ」
ここは一体何なんだ?この声は誰なんだ?何が起きている?
「心配せずとも時期にわかる。と言っても、ここでの記憶は残らない。今は深層心理の奥にでも隠されることだろう」
「君が手にした闇の力は、多くの闇の眷属を招き入れる。上質な魔を、君は持っている。魔力量なんて気にしなくていい。どうとでもなる。
だから、頼んだよ。早く私を召喚してくれ」
気が付けば暗闇の奥から光が差し込んでいた。
「時間か。まぁいい。今回はこれくらいで、また今度。その時はもっとしっかりと姿を見せられるように努力しよう」
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