次なるハーレムの師匠候補。
高級武具の商人が到着するまでの間。
ソファにて相手を待っている雄一郎とツインテールは、無駄話に華を咲かせていた。
「……で、どうなの?」
ツインテールが呟く。
「今までの中で、何か学べそうなことはあったの?」
ぷかぁ。
雄一郎は天井を仰ぐ。
「――世の中、金とラッキースケベなんだなってことはわかった」
「そんな世紀末、あってたまるか」
「でも、実際そうだったじゃんか!」
「何が?」
「お前もだいたい理解できてるだろ?」
雄一郎は阿呆を曝した。
「――『π』ルストンさんは、金で年上お姉さん侍らせてたし。
――『H』野郎は、他人の胸揉んでも怒られないみたいだし!」
「……その表現の仕方、やめて。
字面が汚過ぎる」
ツインテールは、カップに少し口をつけた。
香り高い紅茶で喉を潤していく。
「――というかさ」
そして濡れた唇を指で拭うと、ツインテールは言った。
「あの人たちがモテる理由なら、他にあったでしょ」
「え。どこ?」
「見てて気づかなかった?」
「全然」
「マジか、この男」
痛めた眉間を摘み、彼女は答えた。
「――みんな、わりと人格ができてたでしょ」
「へ?」
「パイルストンさんも、エイチさんも、相手の女性のことをちゃんと思ってたじゃない」
「……『レンタル彼女』と『エロハプニングからの成り行きパーティ』だぞ?
本当にそうか?」
「そりゃあ、お金で解決するのはイケないことではあるけどさ。
ちゃんと相手の心情を優先するようなルールを定めていたし、会話の内容に上下関係はなかったでしょ?」
顎に手を当て、雄一郎は回想してみる。
「うーん……一理あるかも?」
「でしょ?」
さらにツインテールは、こう付け加えた。
「エイチさんもさ。確かにスケベなところはあるけど、その分すごく控えめな方だったじゃない」
「でも、ああいう奴が極悪な事件を起こすもんだぞ」
「それは偏見……いや、あんたの場合は僻みか」
「いま、なんか言った?」
「いいえ、何も」
とにかく、とツインテールは言った。
「あんたがモテないのは、ただ一つ。
――人格が破綻してるからよ!」
「もうちょい言い方考えてくれないかなぁ!?」
…………三人目のハーレムの師匠が到着するまで、あと少し。
それまでの間に、雄一郎たちが殴り合いの喧嘩をおっぱじめなければいいのだが。
付き添いとしてソファの後ろで見守るバイトとシュガーは、ただただ祈る。
「「……(お願いだから武具屋さん、はやく来てー!!)」」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!