「駄目よヴァルカン! の感情に身を任せるなんて、あなたらしくもない!」
「止めるなパレット。無駄死にした宇利亜のためにも、奴を倒さねば気がまらん」
「………………カタキウチ、カ」
赤い鎧の騎士は、「浅いな」と付け加え、秘宝バトルに十分な距離を取った。
「………カイホウ、ヴォルカ・ラプトル」
「開宝、!」
ウェルダンは、いつものヴェロキラプトルの秘宝獣を繰り出した。
対するヴァルカンが繰り出したのは、海藻のような見た目の、タツノオトシゴの秘宝獣だ。
【Aランク秘宝獣ーヴォルカ・ラプトルー】
【Aランク秘宝獣ーリーフシードラゴンー】
「なんかもう、みんな事件のことなんてどうでもいいみたいだね……♪」
蚊帳の外のピエロは、一人しょぼくれていた。
「海龍、《バリアリーフ》だ!」
タツノオトシゴの秘宝獣は、障壁に覆われた。
「ウェルダン、この要塞を落とせるか」
「リーフシードラゴンのバリアリーフ……。一定以下の威力の技は、全部無効にされちゃうっていう技だったわね」
ヴェロキラプトルの秘宝獣は炎の鉤爪で攻撃するが、全て障壁に阻まれる。
「全然効いてない!?」
「あの見てくれで水属性の秘宝獣だからよ。相性はヴァルカンに利があるわ」
「………………《ヒートアップ》ダ」
ついにウェルダンが、秘宝獣に指示を出した。ヴェロキラプトルの秘宝獣は、更に激しく燃え上がる。
「海龍、《プロテクト》!」
タツノオトシゴの秘宝獣も負けじと、防御を厚くする。ヴァルカン得意の戦法だ。
「せっかく攻撃力を上げても、防御力を上げてくる。手強い戦法だね……」
「本当、厄介なのよ……」
乃呑のボヤキで、パレットはヴァルカンとの戦いを思い出し、憂鬱な気分になっていた。
「そろそろだな。海龍、《》!」
タツノオトシゴの秘宝獣は、口から海流を吐き出した。時間が経過しているほど威力が上がる、必殺技だ。
「………………《ウェルダン》ダ」
ヴェロキラプトルの秘宝獣は、高熱の息を吐き出した。踏みとどまってバリアを突き破りダメージを与えるが、海流に流されてしまった。
「このバリアを突破するとはな。だが、海龍、連続で《バリアリーフ》だ」
新しくできた二重の結界が、タツノオトシゴの秘宝獣を包み込んだ。
「《グレイトバリアリーフ》!!」
とっておきの技を披露したヴァルカンだったが、ウェルダンは全く動じなかった。
「………………マダ、キヅイテナイノカ」
「何だと……?」
不穏な気配がした。ヴェロキラプトルの秘宝獣は、大きく息を吸い込んでいた。
「………………《ベリーウェルダン》」
ヴェロキラプトルの秘宝獣は、口から大熱波を吐き出した。グレイトバリアリーフを貫通し、炎がタツノオトシゴの秘宝獣を包み込んだ。
「海龍……!? 何故、これほどまでの威力が……」
「…………簡単な話だ。《ウェルダン》には、相手の防御力を下げる追加効果があった。そして《ベリーウェルダン》は、相手の防御力を下げてからダメージを与える……」
赤い鎧の騎士は、兜を脱ぎながら言った。
ウェルダンの真の姿は、RPGに登場する魔王のような風貌の、赤髪の青年だった。
「………………俺の勝ちだな」
役職説明:【霊能者】
祈りによって特殊なモノが視える霊能者。毎夜、その日に処刑された人と突然死した人が「人狼」か「人狼でない」か知ることができる。基本的には受動的な行動になりがちだが、占い師の真偽を判定したり、残りの人狼の数を把握したりと、重要な役割でもある。
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