「失礼ですが、、もう帰ってもいいかしら? 仕事柄、暇じゃありませんの」
「駄目です。団長……いえ、彩華さんはまだ、白だと確定していないので」
紅葉は彩華を引き留めようとした。彩華は相当不機嫌な顔をしていた。
「白だと証明すればいいんですわよね? でしたら誰か、と秘宝バトルしませんこと?」
「彩華さん……!」
「秘宝バトルには、秘宝遣いの全てが表れるのではなくって?」
彩華は秘宝大会二位の実力者。秘宝バトルの強さには自信があった。
「……………………オレガ、ヤル」
すると、ウェルダンが重い口を開いた。
「せっかく白で確定したのに!?」
「お兄ちゃん!?」
パレットとマナは、驚きの言葉を口にした。赤い鎧の騎士が、彩華の前に立ち塞がった。
「悪いですが、邪魔をするなら倒して行きますわよ?」
「……………………」
彩華とウェルダンは、それぞれ金色の秘宝を取り出し、バトルをするための距離を取った。
「開宝、シラハドリ!」
「………カイホウ、ヴォルカ・ラプトル」
【Aランク秘宝獣ーー】
【Aランク秘宝獣ーヴォルカ・ラプトルー】
「の秘宝獣だー!」
シラハドリと呼ばれる秘宝獣に、マナが指をさして言った。
「彩華さんの秘宝獣は氷属性です。火属性のヴォルカラプトルには不利ですよ……」
「紅葉、心配は無用ですわ。シラハドリ、《凍てつく霊気》!」
黄泉の霊気が、室内の温度を急激に下げた。
「そっか、恐竜は寒さに弱いものね!」
「パレットさん。諸説ありますが、恐竜が滅んだのは氷河期のせいではありませんよ」
「えっ、そうなの?」
「寒さに弱い種類もいたかもしれませんが、ヴェロキラプトルは羽毛恐竜のため、寒さに対応できる種類でした。現にほら、余り効いているようには見えません」
ヴェロキラプトルの秘宝獣は、体を動かすことでウォームアップをしていた。近づきながらステップを刻んで、攻撃に移った。
「来ましたわね……。シラハドリ、《カウンター》!」
鋭い鉤爪で切り裂いてきたヴェロキラプトルの秘宝獣を、白鳥の秘宝獣は凍りつかせた。
だが束の間に、炎を纏ったヴェロキラプトルの秘宝獣が、氷を砕いて現れた。だが……、
「だいぶれてきましたわね」
氷を溶かしたことにより、羽毛が水分を吸収し、ヴェロキラプトルの秘宝獣の動きが鈍くなっていた。
「トドメを……! シラハドリ、《アブソリュート・ゼロ》!」
凄まじい冷気が、室内に吹きすさぶ。ヴェロキラプトルの秘宝獣は、カチンコチンに凍りついた。
「勝負ありましたわね。では、はこれで……」
「………ウォームアップハ、オワリカ?」
「なっ……!?」
いつの間にか、凍りついたはずのヴェロキラプトルの秘宝獣が、氷の中にいなかった。炎で体表の氷を溶かし、地中に潜って反撃の機会を伺っていたのだ。
スティーブン・スピルバーグ監督の『ジェラシックパーク』でも知られるように、ヴェロキラプトルはとても知能が高い生き物なのだ。
「シラハドリ、回避して!」
少し気づくのが遅かった。白鳥の秘宝獣は、炎の鉤爪で切り裂かれ、白い球体となって金色の秘宝の中へと戻っていった。
「……………………オレノ、カチダナ」
役職説明:【狂人】
人狼に味方する危険な人間。ただし、誰が人狼か知らない。人狼の勝利が自らの勝利となるので、基本的には屋敷を混乱させる行動をとる。例えば、他の役職(主に占い師など)を騙ったり、間違った推理でミスリードしたり、人狼の代わりに処刑されるように疑われたり、人狼の勝利のために積極的に動くポジションである。
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