「……というわけで、犯人を見つけて捕まえて欲しいんだよ♪」
「事情は分かったわ。けど、なんであたしなの?」
「他に頼める人がいないからだよ♪」
翌日。殿堂の間に呼び出された金髪サイドテールの少女パレットは、ピエロから依頼を受けていた。
「ここ殿堂の間は、事前に郵送された『パスコード』を持つ人物しか入ることができないんだ♪ その人物ってのは、秘宝大会のベストエイトのことなんだけどね♪」
「つまり、犯人はベストエイトの誰かってことね」
「その可能性が濃厚だね♪」
他の可能性も無くはないが、メタ的な視点でアンフェアなため、ベストエイトの誰かであると断定しておく。
「それじゃあ、入口の扉を開けるよ♪」
ピエロが扉を開くと、招集された人物たちが続々と殿堂の間に入ってきた。全員が揃うと、ピエロは内側からロックを掛けた。
「あれ? どうしてロックを掛けたんですか?」
「それはね♪ 犯人を逃さないようにするためだよ♪」
「犯人……ですか?」
赤いポシェットを首からかけた茶髪の青年は、ピエロの返答に首を傾げた。
「説明がまだだったね♪ 実はね……」
状況を呑み込めていないベストエイトのメンバーに、ピエロは昨日の事件について話した。
「なるほど。つまりピエロさんは、犯人が僕たちの中の誰かだと。そう考えているんですね」
「不本意だけど、そういうことだよ♪」
ふと、金髪ツインドリルの少女、彩華がピエロの足元を指差して言った。
「そこに落ちているカードはなんですの?」
「ああ、これは重要な手掛かりになると思って、事件が起きた時のままにしておいたんだよ♪」
「拾って見せてくださる?」
「いいよ♪」
ピエロは床に落ちていた九枚のカードを拾い集めた。
「イラストも描いてあるよ♪」
カードの絵柄には、名探偵、怪盗、狩人、霊能者、新聞配達、豚男、狂人、人狼、賢い人狼、が描かれていた。
「これは……。人狼ジャッジメントの役職ですね」
「人狼ジャッジメント……?」
「スマートフォンで遊べる、人狼ゲームアプリのことですよ」
紅葉はスマートフォンを取り出して、アプリをパレットに見せた。
「つまり犯人は、『敢えて手掛かりを残した』と考えられるわね」
「そうかもしれませんね」
それを聞いたピエロは、ズボンのポケットの中に両手を入れると、「あっー!」と大声を出した。
「急になんだよ、うるせぇな……」
ピエロの悲鳴に、ハゲ頭の屈強な男、金剛 宇利亜が反応した。
「ボクチンのSランク秘宝獣、スパークキング・オブ・ビーストが、失くなってる!?」
「Sランク秘宝獣が盗まれたぁ? 一大事じゃねぇか」
「……どうやら事態は、思ったより深刻なようだね♪ なんとしても犯人を捕まえないと……」
冷静さを取り戻したピエロは、改めてベストエイトのメンバー全員を見渡した。
役職説明:【人狼】
屋敷に集まった人々の中に潜む、恐怖の人狼。
毎夜指定した人物を襲撃することができる。
仲間の人狼が誰か知っている。仲間の人狼と秘密の会話をすることができる。市民の数を人狼と同じかそれより少なくすると勝利となる。基本的には自分の正体を隠すため、嘘の発言をしたり、他の役職を騙ったりして、屋敷を混乱させ勝利を目指す。
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