「それじゃあ♪ 一人づつ話を聞かせて貰うよ♪」
「はい、僕の知り得る情報なら、何でも提供します」
ベストエイトの事情聴取が始まった。先陣をきったのは、秘宝大会六位の紅葉だ。
「……昨日のその時間帯なら、僕は新聞配達をしていました。パレットさんなら、知っていますよね?」
「ええ、説明するわね。彼は小蟲神社近くでの新聞配達や、フリーランスの記者として働いているのよ」
「犯行時刻は仕事中だったから、犯行不可能だった、ということだね♪」
「はい、確認が取れれば証明できると思いますよ」
紅葉は爽やかな表情で言うと、ピエロは納得したように頷いた。
「じゃあ次は、チミに聞こうか♪」
「構いませんわ。わたくし、絶対に人狼ではありませんから」
秘宝大会二位の彩華は、先ほどの人狼ゲームに例えて、強気な返事をした。
「昨日のその時間帯でしたら、私は喫茶店にいましたわ。その証拠に……」
彩華はピエロにレシートを渡した。レシートの下には、発行された時刻が載せられている。
「確かに、これなら間違いないね♪」
「これで容疑者から外していただけるかしら」
「ちょっと待ったぁ!」
秘宝大会八位の金剛 宇利亜が、再び声を荒げた。
「ベストエイトのメンバーで、今この場にいねぇやつがいるじゃねーか! そいつの犯行じゃねぇのか!?」
「この場にいない……?」
ピエロが人数を数えると、ピエロを除いて九人いた。ベストエイトではないパレットを含むので、人数的にはあっていたが……、
「ぎくー! ど、どどど、どうしよう!? バレちゃったよ、お姉ちゃん!?」
「大丈夫よ、まだ何もバレてないから……」
「そ、そっかー。危ない危ない」
全員の注目を一点に浴びた赤髪の少女は、冷や汗を拭った。
「あ、私はマナ。本当はクトゥルーって名前なんだけど、真の名と書いてマナと名乗れって、お姉ちゃんが言ってた」
「ごめんねー☆ この子、私の妹なの☆」
秘宝大会四位の赤髪ツインテールの少女、アザトスは明るい声で申しなさげに言った。
「ウハハハ、そうかそうか。そういう事は先に言わねぇと、疑われて損だぞ」
「以後、気をつけまーす☆」
「その件だけど、秘宝大会一位の『九十九なごみ』は、この世界の神、アダムのところにいるよ♪」
ピエロは肝心のことを伝え忘れていたようだ。秘宝大会一位、要するにチャンピオンだけは、こことは別の場所に呼ばれていたようだ。
「それで、次は誰の番かな♪」
「では、某の話をさせてもらおう……」
一歩前に出たのは、海軍学校の制服を着た青髪の青年。秘宝大会三位のヴァルカンだ。
「昨日のその時間帯なら、某は陽光水族館にいた。証明できるものといえば、昨日の水族館のチケットくらいだが、今は手元にない」
「って、彼は言うけど大丈夫だよ! 私も昨日、陽光水族館にいて、偶然会ってたんだ。だから彼は白だよ!」
上手くフォローを入れたのは、秘宝大会七位の茶髪のポニーテールの少女、菜の花 乃呑だ。
「白銀の狩人の言う事なら間違いないね♪ これで喋ってないのは……♪」
「……………………」
ひときわ存在感を放つ、秘宝大会五位の、赤い鎧の騎士のような人物だ。ピエロは唐突に踊り始めた。
「チミは♪」
「……………………」
「昨日のこの時間帯♪」
「……………………」
「何をしていたのかな♪」
「……………………」
「……………………」
「……………………ナニモ」
(怪しいーーー!!)
沈黙の中、この場にいる殆どの人物が、心の中でそう叫んだ。
役職説明:【新聞配達】
直前の夜時間、無残に死亡した人物の死因を知ることができる。初日にサイコを占った占い師、初日に占われた妖狐、罠にかかった人狼、もしくは狩人、毒殺や仮死、また怪盗に盗まれて死亡した人物の死因も同じように知ることができる。
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