「事情聴取の内容をまとめたので、整理してみますね」
紅葉は、彼らの話したことをしくメモに取っていた。
「暫定で白なのは、狩人の乃呑さん、探偵として呼ばれたパレットさんの二人です。他はみんなグレーだと思ってください」
「つまり、白に近いグレーは、乃呑ちゃんに信頼していいと言われていた、ヴァルカン。犯行不可能な彩華さんと紅葉。黒に近いグレーは、意味不明なマナちゃん。それをフォローしたアザトスちゃん。話を放り出した宇利亜ね。あと残っているのは……」
パレットが言いかけると、
「……………ウェルダン、ダ」
赤い鎧の騎士、本人が答えた。すると、宇利亜が苛立った様子で食ってかかった。
「おうおう、何で俺が黒なんだ! どうすりゃ白だと証明できる!?」
「…………バトル、ダ」
赤い鎧の騎士は、金色の秘宝を取り出しながら言った。紅葉は解説を加える。
「確かに、秘宝バトルには秘宝遣いの全てが表れます。少々手荒ですが、話し合うより早いかもしれませんね」
「ウハハハ、そいつはいい! これで俺が黒じゃねーことを証明してやるぜぇ」
宇利亜も金色の秘宝を構え、互いに十分な距離を確保した。
「開宝、パワーストーン!」
「………カイホウ、ヴォルカ・ラプトル」
そして同時に、金色の秘宝を開けた。
【Aランク秘宝獣ーパワーストーンー】
【Aランク秘宝獣ーヴォルカ・ラプトル】
宇利亜の秘宝獣は、イベリコ豚をさせた、石のような硬さとパワーを持つ秘宝獣だ。
対するウェルダンの秘宝獣は、七千五百年前に東アジア大陸に生息していた、ヴェロキラプトルをさせたものだろう。
「パワーストーン、【】!」
「…………カワセ」
石のような硬度の頭部をぶん回すイベリコ豚の秘宝獣の攻撃を、ヴェロキラプトルの秘宝獣は華麗なステップで回避する。
「恐竜の秘宝獣〜! カッコイイ〜!!」
パレットとマナは、目をキラキラ輝かせて同時に言った。
「元となったヴェロキラプトルのヴェロキには、素早いという意味があるそうです」
ちなみにラプトルとは、略奪者という意味だ。
「ちまちまと攻撃を避けやがって……! パワーストーン、【ノーズブレス】!」
イベリコ豚の秘宝獣は、鼻から息を吐き出した。
「ウハハハ、火属性の秘宝獣が、水属性の攻撃を受けきれるか!?」
「……………………!」
ウェルダンが指示を出さずとも、ヴェロキラプトルの秘宝獣が口から火の弾を吐き出した。
水と炎がぶつかり合い、小さな爆発が巻き起こった。感情が荒ぶっているためか、金剛は息をあげている。
「ハァ……ハァ……なぜ勝てない!?」
すると、宇利亜はあるものに目をつけた。
「ウハハハ、パワーストーン、パソコンを攻撃しろ!」
「……………………!?」
「選手データが入っていると言ってたなぁ!? 壊されるわけにはいかないよなぁ! お前が白だというならこの攻撃、身を呈して受けるしかねぇよなぁ!」
「……決まりですね」
「……そのようだな」
紅葉がヴァルカンに眼で合図をすると、ヴァルカンは宇利亜の頸椎に手刀を入れ、宇利亜を気絶させた。
「《バタフライ・エフェクト!》」
【Bランク秘宝獣ーガードバタフライー】
紅葉が出した秘宝獣が、パワーストーンの攻撃を防いだ。鱗粉を浴びたイベリコ豚の秘宝獣は、その場で眠りについてしまった。
「師匠、パソコンは無事です!」
「よくやった、紅葉」
宇利亜は、柱にロープでぐるぐる巻にされていた……。
役職説明:【豚男】
どの陣営が勝利したかは関係なく、自分が襲撃されると勝利になる。処刑や他の理由で死亡した場合は勝利にならない。自分の正体が判明してしまうと、襲撃先に選ばれにくくなるため、できるだけ正体は隠しながらチャンスをうかがい、時には人狼と取引したりする柔軟な行動が求められる。
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