「ふんだ。煮るなり焼くなり、好きにするといいですわ」
「すみません、事件が解決したらきますので……」
宇利亜と同様に、彩華も柱にロープで簀巻きにされていた。
「さてと、彩華さんの正体は後でわかるとして、次は……」
紅葉が言いかけている最中、またしても停電が起きた。
「うわぁぁぁぁっ!?」
「また停電!? 紅葉!」
明かりが復旧するまでに、時間は要さなかった。そこには、コテンパンにやられた紅葉の姿があった。
「っ……。誰がこんな酷いことを……」
「私、見たよ。真っ暗だったけど、紅葉をやったのは、サソリの秘宝獣だった」
「キュッキュッキュッ。今度こそ奇襲成功なのだ!」
「………………」
パレットはマナの小声を聴こえないふりをして、話を戻した。
「なんにせよ、これで残りは六人ね。紅葉がいないからあたしがまとめるけど、異論はない?」
「はいはいはーい! マナちゃんがまとめ役やりまーす!」
「異論なさそうね。繰り返しになるけど、名探偵→あたし、狩人→乃呑ちゃん、市民→ウェルダンはほぼ確定よ。残る三人、ヴァルカン、アザトス、マナちゃんが、豚男、霊能者、狂人、怪盗、人狼、賢い人狼のうちのどれかに該当するわけだけど……」
マナを完全に無視して、パレットは進行した。
「先に、吊るされたメンバーの役職を考察してから、今いるメンバーの役職を考察するのが妥当だと思うわ」
「はいはーい! マナちゃん、紅葉は新聞配達だったと思いまーす!」
「それはもう確定事項だから黙ってて」
「はーい……」
マナは泣きそうな顔になりながら、部屋の隅っこに追いやられた。
「パレット。某は、彩華が狂人であったと考えている」
「ヴァルカン、どうしてそう思うの?」
「彼女は最初、自分は人狼ではないと言っていた。だが、彼女は黒と出ている。それも、ただの狂人ではなく、ウェルダンから盗んだ役職であろう」
ヴァルカンはこのタイミングで、自身が霊能者であることを明かした。
「そうであれば、最初にウェルダンが宇利亜を挑発し、吊られるように仕向けたのも説明がつく。その時点ではであったのだからな」
「ヴァルカンの推理は最もね。その仮説通りなら、宇利亜は白だった。つまり、役職で言うと、豚男だったということになるわね」
この仮説を建てるのであれば、ヴァルカン→霊能者、宇利亜→豚男、彩華→狂人役を奪った怪盗 ということになる。
「あくまで仮説だがな」
「私もそれで合ってると思うよ」
「異議あり!!」
ここで異論を唱えるのは、当然彼女しかいない。
「それじゃあ、マナちゃんが人狼か、賢い人狼のどっちかになるじゃん!!」
「ええ。あんた馬鹿だから人狼でしょ?」
「ガーン! 馬鹿って言われた!?」
「随分と早く結論がついたな。だが某には、どうしても見極めねばならないことがある……」
ヴァルカンはそう言って、赤い鎧の騎士に、金の秘宝を突き出した。
「某と戦え、ウェルダン……!」
役職説明:【怪盗】
初日の夜に一人を選んで、選んだ人物の役職を盗むことができる。盗んだ役職固有の夜の行動は、次の日の夜から行うことが可能となる。盗まれた人は次の日の夜まで盗まれたことには気づかず、その後、市民となる。対象がサイコでも盗むことができる。
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