ヨハネと獣の探偵談!?

〜驚愕のベストエイト〜
上崎 司
上崎 司

残り6人

公開日時: 2020年9月14日(月) 12:06
文字数:1,176

「ふんだ。煮るなり焼くなり、好きにするといいですわ」


「すみません、事件が解決したらきますので……」


宇利亜と同様に、彩華も柱にロープで簀巻きにされていた。


「さてと、彩華さんの正体は後でわかるとして、次は……」


紅葉が言いかけている最中、またしても停電が起きた。


「うわぁぁぁぁっ!?」


「また停電!? 紅葉!」


明かりが復旧するまでに、時間は要さなかった。そこには、コテンパンにやられた紅葉の姿があった。


「っ……。誰がこんな酷いことを……」


「私、見たよ。真っ暗だったけど、紅葉をやったのは、サソリの秘宝獣だった」


「キュッキュッキュッ。今度こそ奇襲成功なのだ!」


「………………」


パレットはマナの小声を聴こえないふりをして、話を戻した。


「なんにせよ、これで残りは六人ね。紅葉がいないからあたしがまとめるけど、異論はない?」


「はいはいはーい! マナちゃんがまとめ役やりまーす!」


「異論なさそうね。繰り返しになるけど、名探偵→あたし、狩人→乃呑ちゃん、市民→ウェルダンはほぼ確定よ。残る三人、ヴァルカン、アザトス、マナちゃんが、豚男、霊能者、狂人、怪盗、人狼、賢い人狼のうちのどれかに該当するわけだけど……」


マナを完全に無視して、パレットは進行した。


「先に、吊るされたメンバーの役職を考察してから、今いるメンバーの役職を考察するのが妥当だと思うわ」


「はいはーい! マナちゃん、紅葉は新聞配達だったと思いまーす!」


「それはもう確定事項だから黙ってて」


「はーい……」


マナは泣きそうな顔になりながら、部屋の隅っこに追いやられた。


「パレット。某は、彩華が狂人であったと考えている」


「ヴァルカン、どうしてそう思うの?」


「彼女は最初、自分は人狼ではないと言っていた。だが、彼女は黒と出ている。それも、ただの狂人ではなく、ウェルダンから盗んだ役職であろう」


ヴァルカンはこのタイミングで、自身が霊能者であることを明かした。


「そうであれば、最初にウェルダンが宇利亜を挑発し、吊られるように仕向けたのも説明がつく。その時点ではであったのだからな」


「ヴァルカンの推理は最もね。その仮説通りなら、宇利亜は白だった。つまり、役職で言うと、豚男だったということになるわね」


この仮説を建てるのであれば、ヴァルカン→霊能者、宇利亜→豚男、彩華→狂人役を奪った怪盗 ということになる。


「あくまで仮説だがな」


「私もそれで合ってると思うよ」


「異議あり!!」


ここで異論を唱えるのは、当然彼女しかいない。


「それじゃあ、マナちゃんが人狼か、賢い人狼のどっちかになるじゃん!!」


「ええ。あんた馬鹿だから人狼でしょ?」


「ガーン! 馬鹿って言われた!?」


「随分と早く結論がついたな。だが某には、どうしても見極めねばならないことがある……」


ヴァルカンはそう言って、赤い鎧の騎士に、金の秘宝を突き出した。


それがしと戦え、ウェルダン……!」

役職説明:【怪盗】

初日の夜に一人を選んで、選んだ人物の役職を盗むことができる。盗んだ役職固有の夜の行動は、次の日の夜から行うことが可能となる。盗まれた人は次の日の夜まで盗まれたことには気づかず、その後、市民となる。対象がサイコでも盗むことができる。

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