本作では多くの“すれちがい”が描かれています。
登場人物たちの関係において最初から最後まで敵同士という例は少なく、多くは元は一緒にいたのになにかのきっかけですれちがい、敵対してしまった場合がほとんどです。
愛が憎しみに反転する、愛しながら憎んでもいる、ただ愛し憎んでなどいなくても敵対してしまう、そんなすれちがいは当事者たちにとっても不本意で、誰もそんなことは望んでいない。でも一度そうなってしまった関係は容易には修復できない。
でも、決して不可能ではない。
悲しいすれちがいを、悲しいままでは終わらせない。関係修復の困難さをしっかりと描きつつ、それを乗りこえて修復するまでの苦難の道のりを描いているのが、この作品です。安易にハッピーエンドになる話ではなく、困難ではあるが断固としてハッピーエンドに漕ぎつける話です。道のりが平坦ではないからこそ、その瞬間を見届けた時の感動はひとしおです。
ハッピーエンドを愛する同志諸氏に、太鼓判を押してお薦めします。