■■■■■■■■■■■■■■■
時刻はすでに深夜2時。
辺りの景色は真っ暗で、この世界そのものが寝静まっているかのよう。
秋風が吹き荒ぶビルの屋上。
昼間の穏やかで温かい気候とは反対に、今は肌寒さを覚えるほど冷めたく、コートを着込みたくなってしまう。
そんなところに、一人の男がポツンと立っている。
一歩踏み出したら、そのまま下に落ちてしまうところに。
その男の着ているスーツは、何日も手入れをされていないかのようにしわくちゃ。
頭もボサボサになっている。
そして握り締められた手には「解雇通知書」と書かれた書類。
その目には光すら宿っていない。
まるで生きる希望が何も持てず、人生を嘆くことすら諦めたかのようだ。
「……もう死にたい……俺の人生ガチャは……大ハズレだ……」
そして、男が最後の一歩を踏み出そうとしたそのとき、
「だったらあなたの人生、あたしが変えてあげる」
男は後ろを振り返る。
陰のせいでどこの誰なのかは全く判別できない。
しかし、その声の主は確実に小さい女の子だ。
暗闇に浮かぶそのシルエットも子どもそのものだった。
「ふふふッ♪」
可愛らしい微笑み。
はたして、この微笑みの裏には一体何があるんだろうか。
男は一度だけ息を飲み、そっと口を開く。
■■■■■■■■■■■■■■■
読み終わったら、ポイントを付けましょう!