七本槍市 七本槍商店街 楽器店兼練習スタジオ EDITION
「羽ぁ奈!違う違う」
本当に可愛らしい絵柄と綺麗な字で定評のある伊月歩基、伊月歩が私に檄を飛ばしてくる。
私がアルバイトを始めてから一週間が経った。発注書の打ち込み作業は大分慣れたし、私が初めて入った日にはお休みシフトだった社員の人、朱鷺多歩美さんが来てくれているので、色んなことも教わったし、中々順調なのだけれど、どうしてもポップ作りだけは慣れない。それと、全然関係ないのだけれど、歩美さんと歩さん、ややこしい。
「絵は最後に描くの!じゃないと一番大事な値段が描けなくなっちゃうでしょ!」
「え、あ、そ、そっか……」
何を見せるか、の順番が、そのまま描く方にも直結する。まずは機種とお値段。それと店員からの一言メッセージ。最後に人の目を引くような可愛らしい絵柄。
「先に値段を描いて、メッセージを描いて、そこを避けて絵を入れないと見えなくなっちゃうじゃん」
「りょ、了解です!」
絵をばん、と描いた上に、値段とメッセージを描いた厚紙を切り張りするのでは、紙がもったいないとのことで、紙一枚で納めるやり方が推奨されている。でもそれは歩さんの絵が巧いのと描く技術があるからであって、お絵かきなんてほとんどしてこなかった私が歩さんと同じようにやるのはなかなか厳しい。
「しっかり自分で絵も描いてね!何気に羽奈の絵、ブキカワでウケもいいから!」
と歩さんが随分嬉しそうに言う。い、いやブキカワって……。
「え、そ、それホントですか……」
キモカワとかは聞いたことあるけど、不気味でカワイイ……。あれか、千葉県にあるテーマパークの参加だか何だかわからないけれどもナイトメアなんとかいう。い、いや当然ながらあんなに完成度は高くない。
「うん!ごく一部に、だけどね!」
ごく一部……。それはつまり、需要はないということだ。そしてそれは楽器の売り上げには貢献できていないということだ。駄目じゃないか。
「ふふ、しごかれてるわね、羽奈ちゃん」
「歩美さん……」
優しい笑顔で歩美さんが少しからかうように言う。歩美さんは交通事故で下半身不随になってしまって、車椅子の生活を続けているのだそうだ。初日に気になっていた事務所への入り口のドアが二か所、自動ドアになっているのは歩美さんへの気遣いだったのだと、歩美さんに初めて会ってから気付いたのだけれど、つまりはそういうことだと私は勝手に納得した。
「歩美さんと私と羽奈でこの事務所は守るのよ!何と言っても歩美さんは年長者だし、莉徒さんと同じく課長さん!」
それは聞いたけれど、となると歩美さんも基本的には事務所に詰めているということなのかな。ともかく歩美さんと歩さんがいてくれれば確かに私は随分と気分的に楽になる。
「大げさよ歩ちゃん……。でも事務系の仕事は何でも聞いてね、羽奈ちゃん!」
「は、はい!」
うおー百人力だ。歩美さんも歩さんも優しいし、新入りのバイトをイビるみたいなのも本当はほんの少し心配していたけれど、これならば私も不安なく仕事ができる。
「時に美雪は大丈夫なの?ああ見えて結構体力ある感じ?」
歩さんが言ってポップ作りの手を止めずそう言ってきた。そう美雪もわたしがここでアルバイトを始めてた翌日からアルバイトを始めている。そして美雪は練習スタジオの仕事がメインになっている。基本的にはレジカウンターでのレジ作業が多いらしいけれど、スタジオ内の清掃、必要とあらばアンプの入れ替えなどもあるらしい。
「みたいですね、私も意外でした。ていうか歩さんは現場の方はいかないんですか?」
「体力有り余ってそうだもんね、歩ちゃんは」
私が言いたいことをズバリ代弁して歩さんが笑った。
「ちょっと歩美さん!こんな可憐なJKを捕まえて!」
「可憐と体力は別物じゃない?」
確かに。私も発注書とシステムに打ち込んだ数値が間違っていないかをしっかりと確認しながら歩美さんの言葉に頷いた。
「ま、まぁ確かにそれはそうなんですけど……」
は、思い出した。
「体力と言えば……」
「んん?」
イラストを描く手を止めて歩さんが私に視線を投げる。
「歩さん、喧嘩、めちゃめちゃ強いって聞いたんですけど……」
「はぁ?誰に!あっ!」
ぐじゃ、と紙がよれる音がした。
「えと、莉徒さん」
「あ、あぁ……。七歳の時から中学二年まで少林寺拳法やってたからね……。組演武全国二位!」
少林寺拳法!……て何。い、いや多分空手みたいな武術のことだ。何か聞いたことがあるようなないような。いや、そんなことよりも!
「ぜ、全国?」
「そ。全国大会」
全国大会で二位。
「えっ、ガッチガチのヤツじゃないですか……」
全国大会で二位なんて、全国大会一位の、日本で一番強い人と戦ったということだ。とんでもない実績だ。それが何故今バンドをしているのだ。
「そうだけど、組演武って型の綺麗さを競うだけだから、実際に殴る蹴るの戦いはしないのよ」
「そんな大会も……。あぁ、なんか観たことあります」
一定の、一連の動きをどれだけ正確に、美しく見せるか、という大会だ。確かテレビで観たことがある。
「羽奈が見たのは多分空手の方ね。少林寺拳法はテレビでやるほどメジャーじゃないから」
「な、なるほど」
武術にも色々あるのだろう。その手のことはさっぱり判らないので、とりあえず頷くことしかできない。
「でもま、まったく知らな人から見れば基本空手と似たようなものだけどね」
私では見分けがつかないので、きっとそういうことなのだろうけれども、でも、だとしても、だ。
「じゃあやっぱり強いんじゃ……。は!ま、まさかブリザードマスクって歩さん?」
貴さんの後継者、つまりサンダーマスク二世ではなく、ブリザードマスクを新たに起用するということはつまり女性だから?だ、だとしたらとんでもないスパルタというか、それはそれで問題になりそうな気が。
「違うわよ!いくらなんだって女の子にそんなことさせないわ、あの二人だって」
「お、おおぅ。それはそうですね……」
まぁ確かに諒さんも貴さんもアレを女性にやらせる気は微塵もないだろうな。あまりの衝撃の事実に突拍子もないことを考えてしまった。
「ブリザードマスクは省吾」
「え!」
省吾さん!じ、自分の彼氏が正義の味方候補だなんて、歩さんはそれで良いのだろうか。
「あいつも小学生卒業するまでは少林寺拳法やってたから、基礎が成ってるって、時々トレーニングに連れてかれてるわ」
「そ、それは……」
下地があるからと言ってそれで良いのか……。確かに省吾さんは体も大きいし、武術の基礎を学んでいるのなら強いのかもしれないけれども。
「まぁ私もファイヤーマスクがリンジだったって聞いた時は驚いたけどね」
「ですよね」
う、うん、まぁ、そういうことか。仮に、もしも、ないかもしれないけれど、私とリンジくんが、その、お付き合いをすることになったとしたら、私は現役の正義の味方を彼氏に持つことになる……。い、いやこの妄想は良くない。仕事に支障が出てしまう。
「でもいざとなってら護ってくれそうで頼もしいじゃない」
ふふ、と上品な微笑で歩美さんが言う。ここ数日で何とはなしに歩美さんや歩さんの性格は掴めて来たけれど、歩美さんはおっとりマイペースな人だ。きっと、私以上にたくさん苦労してきたのだろうけれど、歩美さんの笑顔を見ると何だか安心できるし、私もこうありたいな、と思える。歩美さんの存在があるからこそ、夕香さんは私を起用してくれたのかもしれない。
「あ、聞きましたけど、歩美さんの旦那さんも空手の有段者だって」
「そうね、頼もしい旦那様よ」
「おひょー!聞いた羽奈!なんて羨ましい!」
歩美さんは既婚者だったのか!それは凄い。きっと旦那様も素敵な人なんだろうな。私よりも重い障害を背負ってしまった歩美さんをずっと支えてこられた旦那さんだなんて、ちょっと会ってみたい。
(いや、違う)
きっと旦那さんは支えるばかりの存在ではない。歩美さんにも支えられて、お互いに信じあって、支え合ってきたからこそ夫婦としてやって行けるのだろうし、歩美さんだってこんなに素敵な笑顔ができるのかもしれない。妄想の域は出ないけれど、そこは私だから何となく判る。
「やー、私は歩さんと省吾さんも充分羨ましいですけど」
「……!」
特に含みもなく素直にそう言ったら歩さんの顔が真っ赤になっていた。こ、これは何と言うか、アレだ、あざとい!あざと可愛いというやつだ!しかもこれ、天然だから誰にも勝てない!お、恐ろしい……。天は歩さんに何物与えたんだ……。
小さい、可愛い、歌巧い、ギター巧い、絵巧い、明るい、喧嘩強い、あざとい……。い、いや、生まれ持っての容姿以外は歩さんが努力して手に入れたものだ。羨んでばかりいても仕方がない。歩さんに負けないくらい努力はしないといけないってことだ。うん。
「何の話だー?」
おっと、ここで良いタイミング。省吾さんの登場だ。
「あ、省吾さんお疲れ様です」
「おー羽奈。慣れたか?」
やる気の欠片もないような脱力した口調は相変わらずだけれど、実は省吾さん、ギターのことには滅茶苦茶詳しい。私は今までキーボードやシンセサイザーのことしか知らなかったけれど、省吾さんのお陰でまだほんの少しだけれど、ギターやエフェクターのことを覚えることができた。
「まだ少しだけですけど。歩さんのスパルタが酷くて……」
くねり、と身をねじらせてわざとらしく言ってみる。
「え、ちょ、羽奈……」
「あぁ、歩は凶暴だからな、気をつけろよ」
くく、と楽しそうに省吾さんは笑う。ふむ、こういう表情もできる人なのか。多分何事にも無関心なのではなく、やる気がない訳でもなく、そういう表現の人なのだ。少し判ってきた。
「省吾までぇ!」
「おれも羽奈も冗談だって。今日昼メシどうする?」
あ、もうそんな時間か。歩美さんや歩さんのお陰でいつも時間を忘れて仕事ができている。もうそろそろGRAMに所属するバンドのライブが多くなってくる。まだまだ私も忙しくなるし、今のうちに今できていることの練度をもっと上げておかないといけない。そして練度と言えば。
「私お弁当持ってきました!」
い、一応リンジくんにお弁当を作ることになってしまったから、まず自分のお弁当で特訓をしているところだ。料理というものは奥が深い。私は今まで全然料理をしてこなかったので自分でやってみると良く判る。自分で食べる分には及第点なのだ。所詮焼き物や炒め物は誰でもできるとは言っても、味付けは個人差が出る。私が食べてもまぁまぁと思えるものを、リンジくんが食べてまずいと思ったら……。そう思うとタイミングが掴めない。私はそれほど味覚がずれていると自分では思わないけれど、どこが基準線かなど判ろうはずもない。
「私もお弁当」
歩美さんに少し味見してもらおうか……。
「じゃあ歩さんは省吾さんとラブラブランチ行ってきてください」
「おぉー羽奈、そういうの照れるぜー」
ちっとも照れているようには見えないけれど、照れているんだろうなぁ。面白い人だ。
「馬鹿省吾」
「歩さん、可愛いですね」
ちょっと歩さんを照れさせてみたくて私はそう言ってみた。
「うん、歩ちゃんは凄く可愛い。省吾君の自慢の彼女」
歩美さんまで乗ってきてくれた……。というよりは本心かな。私も別に嘘は吐いていないし。
「や、歩美さん、それは歩でなくても照れますわ」
と言いつつもやっぱり省吾さんは呑気に笑った。隣で歩さんが真っ赤になっているのが本当に可愛い。
「全然そんな風に見えないけどね」
「確かに……」
で、結局歩さんはスタジオの方には行かない、ということでいいのかしら……。
十三橋市 十三橋駅
多分嘘だろうけれど、リンジくんが偶然近くにいるということで駅で落ち合うことになった。リンジくんのお節介だとしてもこれはきっと優しい嘘だから、暴かないし何も言わない。でもやっぱり嬉しい気持ちと癪に障る気持ちが綯交ぜになってしまう。
「仕事、そろそろ慣れてきた?」
「まぁ私は少し慣れてきたかな」
私は、と少し強調して言う。
「美雪ちゃん?」
「そ、結構体力的にキてるみたい」
体力はある方なのかと思ったけれど、今日はぐったりしていた。今日はアンプの入れ替えが多く、かなりの肉体労働だったらしい。ちなみに今日はリンジくんが駅に来るという連絡を三時休憩の時に知ったので、私はちょびっとだけ残業をして、美雪には先に帰ってもらった。
「なるほどぉ。まぁ確かにスタジオの作業って疲れそうだよね」
「うん。美雪、大丈夫かなぁ」
ギターアンプはかなり重い。もちろんスタジオの出入り口のドアは防音扉がついているので、アンプにキャスターがついていたとしても、防音効果を高めるために設えられたドア枠の下段の段差を乗り越えなければならない。スタジオの掃除は部屋に空き時間ができればするし、アンプの入れ替えは一人だと壊しかねないプレッシャーがある。男性スタッフ、それこそ省吾さんにも手伝ってもらってはいるようだけれど、毎度毎度省吾さんが手伝える訳でもない。それでも泣き言一つ言わずに頑張っているのは流石としか言いようがない。
「宿題は?」
「割と進んでるよ。先週も休みの日に美雪と楓でかなり集中してやったから」
「おぉ、素晴らしい!」
宿題は今のところ順調だ。このペースなら充分ライブまでに終わらせることは出来る。でも美雪にこれだけ疲れが出ているとそのペースも落ちるかもしれない。ここは私と楓で美雪の分までフォローしてあげたいところだ。
「まぁ確かに諒さんたち運営側の心配も判るし、私たち自身のためにも良いことだと思うしね」
「だねぇ」
七本槍中央公園の野外音楽堂を使用する上で、地域密着型のイベントともなれば協賛している商店街のお店も多いだろうし、そうなると学生を子供に持つ親御さんたちも心穏やかではいられない部分もあるのだろう。それが音楽イベントではなくとも。主催側の責任としては打ち出すべき指針は打ち出しておかねばならないというのも頷ける話だ。
「リンジくんって中学生の頃はどうだったの?」
「宿題?最後までやらなかったクチだね。高校でもそうだったなぁ」
「そういう人の方が多いよね」
それが特別悪いことだとは思えないけれど、やっぱりいつだってやっておけば良かった、という後悔はある。後悔があるということは、あの時もっとこうしていれば、という気持が自分の中に燻っている証拠だ。つまり、あまり心には良くない作用だ。
「かもねぇ。わかっちゃいるけど、ってやつだね」
「だね。私も去年まではそうだったし……。でも今年はいろいろありすぎてタスク整理してやっていかないとホントに危ない」
アルバイトに宿題に練習。あとは、まだ何も行動は起こせていないけれど、リンジ君のこと。新社会人は学生は楽でいいよなぁ、とよく言うけれど、学生だって忙しい。責任の重さは違うけれども。
「ある程度の忙しさは緊張感持ってやれるから、必要っちゃ必要だよね」
「おぉ、社会人っぽい」
「や、社会人だから」
「そうでした」
あ、社会人と言えば……。
「そういえばリンジくん、歩美さんのことは前から知ってたの?」
もしかしたら歩美さんの存在を知っていたから、私を推したということもあるのかもしれない。
「あぁ、うん。あの人本当に事務方だからお店の方にはほとんど出てこないし、きちんと話したことはないけど、何度か見かけたりはしてた」
「やっぱり……」
夕香さんの気遣いを感じる。事務所へ通じるドアが自動ドアになっていたのは歩美さんのためだろう。そして私のこともきっと、夕香さんにとっては何でもないことだったのかもしれない。私はまだ立って歩けるけれど、歩美さんは車椅子だ。そんな歩美さんが不自由なく働けるように職場環境を整えていれば、確かに私程度の症状では何ともないことだ。
「ま、そういうことだね」
それをリンジくんも知っていたからEDITIONでのアルバイトをあんなに押してきたのだろう。そこまでのリンジくんの気持ちを、癪に障るとは言えない。そこまでの状況を知っていて、私が気兼ねなく働ける場所を紹介してくれたのは、特別な気持ちがあるとかないとか以前に、私のことを理解してくれているということだ。ただの、ストリート演奏での行きずりでしかなかった私にそこまでする儀理はない。どんな思いがあるにせよ、これはリンジくんの思いやりだ。
「いろんな配慮を感じるから、もしかして、とは思ってたんだけど、まさか車椅子の人を雇ってたとは思わなかった」
最初に会った時には驚いたし、歩美さんの気遣いにも脱帽する思いだった。
「多分ハナちゃんと夕香さんの意向が合えばそのまま就職もさせてくれるんじゃないかな」
「かも。でもなんか夕香さんの厚意にぶら下がってるだけじゃだめよね」
確かにリンジくんの言う通り、私がきちんと真面目に働いていれば夕香さんは私を正社員として採用してくれるかもしれない。でも、だからと言ってそれにかまけているようではいけない。確かにEDITIONは私にとっては働きやすい場所だし、趣味のことも考えれば最適な職場と言っても過言ではない。だけれど、だからと言って無条件に今、この場でEDITIONに、楽な道に逃げることが良いとは思えないし、私が嫌だ。それに勝手な思い込みかもしれないけれど、夕香さんに失礼な気がする。
「そういう考え方ができる人は、人材的にも貴重だからね。ハナちゃんが思う通りにやってみたらいいんじゃないかな」
「……だね。自分の力量と、できることできないことはちゃんと区別して考えてやっていきたいな」
できないことを無理してやるのは仕事の効率を考えても良くない。だけれど、努力してできるようになることがあるのならその努力はするべきだし、それをできないこと、と割り切ってはいけない気がする。
その見極めをしっかりできないと、何でもできない、と判断してしまう癖がついてしまうかもしれない。これは楽器の練習にしても同じことだ。新音楽と呼ばれるジャンルの演奏の表現ならば話は別だけれど、私たちがやっているのは俗に言う大衆音楽の一つだ。そのジャンルに置いて、どれだけ努力しても届かないものに時間をかけるよりも、もっと自分で出来ることは何かの見極めを大切にしなければならない。
「偉いなぁ……」
まだ何もできていない内はその言葉を受ける資格はない。でも、リンジくんのその言葉は素直に嬉しいと思えた。それにどこまで模倣できるかは判らないけれど、目の前にお手本はいる。
「私は今のリンジくんの方が相当凄いと思ってるけど」
うん、以外と素直に言えた。
「ハナちゃんにそんなこと言ってもらえると調子に乗っちゃうなぁ。気を付けないと」
結構頑張って言ったのに、リンジくんの反応と言えばこんなものだ。まぁ勤勉なリンジくんらしいけれども。
「リンジくんらしいわ……」
私は苦笑して言うとリンジくんの手を取った。
第四二話:やるべきことは、やる 終り
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