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まんじゅう
ま
ファンタジーにおける醍醐味の一つに「未知へのドキドキ感」があると思っています。
未知なる場所に未知なる出会い…そんなドキドキ感を最初から最後まで堪能できるのがこの作品です。
玉座が逃げ出すという幕開けが何より衝撃的ですが、驚きはそれだけではありません。主役たちが駆る乗り物は実在しそうでありながら独特で、ファンタジーの世界に良くマッチしています。そして玉座を追う旅の中で出会う人々も、待ち受ける困難も、やがて知る真実も、実に刺激的です。
ただ玉座を追うというあらすじからはとても想像出来ない冒険の連続、そこに作者の豊かな想像力と懐の深さを感じました。
そんな冒険を綴る文章もまたこの作品の魅力です。いわゆる三人称の視点で書かれていますが、ただ客観的に事実を述べるのではなく、まるで読者がその世界で過去の伝説を聞いているように感じられる作風がとても素敵です。
それだけに作中で断片的に語られる人物や時代にも自然に興味が惹かれ、思わず考察したくなること間違い無しですよ。
詳しくは読んでのお楽しみですが、ただのファンタジーでは収まらない要素が多くあり、そこで意見が分かれる人もいるかもしれません。ですが少なくとも自分は、作者の個性が強く感じられる世界をガッツリ楽しませて頂きました。
驚きに満ちた冒険を味わいたい方に、是非お勧めの一作です。
3人の読者がこれを役に立ったと思っています