ヒューマンホラーショートショート集

人間の怖さ
モンスターラボ
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馬鹿の殺人

公開日時: 2024年9月19日(木) 01:43
文字数:715


ある村に頼まれごとを何でも笑顔で引き受けてくれる優しい青年がいました。彼が休日で寝ていたとき、腰の悪い老人が彼の家を尋ねました。


そして老人は「友人の元にどうしても大切な書類があるんじゃが、腰が痛くてのう、すまんが運ぶのを手伝ってくれんか?」と言いました。彼は人の役に立てることがとても嬉しく、昨日の仕事の疲れが残っていましたが、笑顔で重たい書類の山を運びました。


またある時は、青年が幼い頃から大好きな音楽団が隣町に来るということで、高いお金を払い入場券を買いました。青年は一年以上前からその日を心待ちにしていました。


しかし、「熊が食い荒らした動物たちの死体を片付けてくれないかしら」と村人に頼まれ、とても演奏を楽しみにしていましたが、村の人たちが困っているならと思い嫌な顔ひとつせず、死体を片付けました。


もちろん、その日楽しみにしていた演奏を聞くことはできませんでした。しかし、青年は心の底から人々の役に立てることに喜びを感じていました。


そんなある時、事件が起きました。青年の優しさは偽善だと疑う村人たちがいました。その村人たちは意地悪なことに困っているふりをして、川の中に大切なペンダントを落としてしまったのでとってきてくれないかと頼みました。もちろんペンダントなどあるわけがないのですが、優しい青年は、困っているならと思い川の中を潜り一生懸命探しました。


そして、青年が川の中を探し続けていると、ワニたちが青年を取り囲みました。そして、青年は助けを求める間もなくワニたちに食べられてしまいました。


青年を疑っていた村人たちは、青年の優しさは本物だったと理解しました。同時に彼らは自分たちの愚かさを彼の死によって深く理解したのです。







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