入学式が終わると私は足早で保健室へと向かう。
そして失敗した生徒たちが保健室へと来るのを待つ。
保健室は多数の生徒が入れるように比較的大きい作りになっているので、パンクすることはないだろう。
それに自分で始末出来ない手間のかかる子も多数いるとはいえ、やはりそこは中学生。
1年生ならまだしも、2年生以上であれば初等部に比べれば大人なので漏らしても自分で着替えられる生徒も少なくはない。
その点では、明日の初等部入学式の準備運動にはもってこいともいえる。
そして十分程度が経過して、徐々に生徒が入りだし、保健室に女子中学生が集まる。
しかしこれだけ多くの女子中学生が集まり、その全員があるものは泣き続け、またあるものは目に涙を浮かべ、またあるものは呆然とした表情を浮かべている。そして全員が例外無くスカートの前後にシミを作っているのは不思議な光景でもある。
人数で見ると1年生が51名。2年生が9名。3年生は7名だ。
1年は半数以上が初日から失敗したことになるが、合計67名は例年と比べても特別多くはない。
「皆さん初日から大丈夫でしたか。それじゃ着替えを配りますので、濡らした服は全て配布する袋に入れて着替えてください。濡れたタオルも人数分あるので大丈夫です。自分で着替えは難しい方は私が対応しますので、出来るかたは袋と着替えを受け取ってください」
私がそういうと、1年生では初等部からの漏らしっ子で今回も失敗した7名が着替えと袋を受け取る。
2年生は9名が、3年生も6名が着替えを受け取る。
これだけの生徒が自力で着替えるとやはり楽になる。
残りは1年生が44名。2年生は0。3年生は1人のみだ。
これだけなら1時間半程度で全員着替え終わるだろう。
「それでは一人で無理な方は私が対応しますので1年生から順番にお願いします。出席番号順でお願いします」
すると順番に並ぶ。
自分で無理な生徒は共通して泣き続け、顔を抑えている子が多い。
なので優しく声をかけながら、私がスカートや下着を脱がさなくては行けない。
「それじゃ脱がすね。はい。足を上げてね」
「ひっく、ひっく」
泣きながらも足を上げてくれるので下着も脱がし、下半身を裸にする。
そして濡れタオルで拭いてから新たに下着を着せる。
それを繰り返す。
それを何人か繰り返すが、途中で木山香菜の番になる。
「うっ、うう、せんせぇ」
「香菜さんだね。大丈夫?」
「うぅ、私みんなの前でぇぇぇ」
「大丈夫だよ。毎年みんなやってるから」
「でもぉ」
「大丈夫だよ。じゃあ着替えよう」
「うぅ」
そうして香菜の下着を脱がしていく。
最も彼女には言わないが、新入生挨拶で漏らした子はその後確実に漏らしっ子になり、高等部まで6年間腕章持ちになる子が多い。
そう考えると彼女とは長い付き合いになるのだろうと、着替えさせながら思う。
その後も1年生の子を順番に着替えさせ、次は最後の3年生のみだ。
3年生の子は在校生挨拶で漏らした西野美雪だった。
そして彼女の場合、足元を見ると新たな水溜りが出来ていた。
待って居る間に再び漏らしてしまっていたのだ。
「……大丈夫? また漏らしちゃった?」
「うぅぅぅ、えーんえーん」
私がそう聞くと、彼女は子供のように泣き出す。
なので優しく頭を撫でる。
「大丈夫だよ。ずっと濡れた下着で待ってたんだもんね。冷えるし漏らしても仕方ないよ」
「うぅぅぅぅえーんえーん」
でも泣き止まない。
とりあえずこのまま放置すると濡れた下着の気持ち悪さでより悲しい思いをするだろうから、すぐに下着とスカートを脱がしていく。
そして手早く濡れたタオルで股間や足を拭いていく。
最後に新しい下着とスカートを着せる。
そしてお漏らしの後を消すと少しは落ち着いてくる。
「うっ、うっ、せんせぇ。私、せいっ、……と……かいちょ……うなのに」
つまりながらも言葉を出す。
目は真っ赤に濡れている。
「大丈夫だって。毎年挨拶では漏らすんだよ。だから誰もバカにしたりなんてしないよ」
「でも……」
「大丈夫だよ。それに美雪さんのクラスだって去年は何人も漏らしてたけど、誰かバカにされたりした?」
「してません……けど」
「そうだろ。大丈夫だって。さあ教室に戻って」
「……はい」
そうして彼女も教室へと戻っていく。
なおこの挨拶で漏らした木山香菜、西野美雪はともに今年は一年間を通して漏らし続ける漏らしっ子になってしまうのだった。
それでも香菜は成績優秀の優等生として、美雪は生徒会長として、学校の人気者であることは変わらなかった。
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