なんだか勇治が楽しそうだ。喫茶店から戻って以来スマホから手を離さない。
「勇治」
「ん?」
「気持ち悪いほど楽しそうだな」
俺を見て、にやあっと笑う。気持ち悪い。
「あそこのマスターが宣伝していいって言ってたし、奥州筆頭も撮影OKだったし。素材が大量だもんよ。ほくほくだわ」
「迷惑なほど露出すんなよな」
「もちろんさあ! 俺を誰だと思ってんだよ。前途ある若者だし加減はするさ」
本当かよ。
「お、きた!」
【権中納言@
#異世界勇者と繋がりたい
勇者殿にお会い申し候
彼の者中々の御仁にて候
家中に魔王の如き者之居り候故其れ真に魔王也やと問い候わば真也と申候
勇者殿甚だ腹太き御仁にて御座候
我感服致候
和御魂荒御魂揃いて勇者殿の元に有之候
彼の二つ魂互いに相和すれば力増し申候
鳥の囀りにて申候】
「長げえよ! わかんねって!」
「どうした?」
SNSの表示された画面を見て絶句した。中納言ってことはあっちか。
【とーしろ@
#異世界勇者と繋がりたい
なんぞ!? TLパネェwwwwww】
【とーしろ@
#異世界勇者と繋がりたい
じーさん普通にしゃべれよwわかんねーしw】
↑
【権中納言@
お主が短い手紙だって言ったから!!】
↑
【とーしろ@
普通に手紙書くなwアホかとww
書くなら紙に書け紙に】
↑
【権中納言@
(`Д´#)ムキーッ】
「これさ、よく考えたら一人二役やってんだよな」
「だな」
「すげーな。藤次郎パネェわ」
「何を見ている?」
俺と勇治が画面上に釘付けなのを見た眞生はひょいとスマホを取り上げた。
「……藤次郎……か……?」
「そう」
「あれと共存している上にこれか? あやつは何者だ」
とりあえずフォローしとこう。こんなすごいやつと繋がってるとか心強い……かもしれない。いや、面白いことは確かだな。俺達は揃ってスマホをポチポチ操作し始めた。
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