「「「「私達、全員と恋人になろうよ」」」」
…ん?聞き間違いかな…?
「あ、あの…今なんて…」
「だから!誰を選んだらいいか悩むなら、全員と付き合っちゃえばいいんだよ!」
「無理して一人を選ばなくていいんだよ!」
「一人じゃなくていいんです…!」
「悩むくらいなら、みんな選んじゃいなさい!」
待って…。
予想外すぎてついていけてないよぉ…。
たしかにそれなら誰もフラれず、傷つかないかもだけど…。
「ちょ、ちょっと待って!?みんな本当にそれでいいの!?」
「いいもなにも、みんなで話し合って出した答えだもん!」
「そうだよ!かずっちには内緒で決めてたんだぁ!」
「ですです…!みんなを幸せにする王子様…素敵です…!」
「ええ!ここにいる全員、ちゃんと納得してのことよ!」
私はずっと誰か一人だけを選ばないといけないと思ってた。
だけど、みんなは四人全員を選んで良いと言っている。
本当にそれでいいと言うなら…
「誰か一人じゃなくて、全員の方を選んでしまう私ですが…みんな大好きです!付き合ってください!」
「「「「はい!付き合います!」」」」
こうして、私は全員が彼女となり、全員の彼女となった。
それからはみんなとそれぞれ話す。
「かずき!これから恋人として、よろしくね!」
「うん!よろしくね!朝日!」
二人で抱き合うと、朝日が夏海と交代する。
「わーい!かずっちー!よろしくー!」
「夏海ー!よろしくねー!」
二人で抱き合うと、夏海と雪が交代する。
「王子様…!これからも素敵な物語を体験しましょう…!」
「うん!いっぱい体験しようね!」
二人で抱き合うと、雪と楓さんが交代する。
「ふふ!これからは生徒会以外でも頼らせてね!」
「はい!任せてください!」
最後に楓さんと抱き合い離れると、四人が抱き合い、喜び合う。
なんだか、軽い感じがするかもだけど、私達には今はこれくらいがいいと思う。
それからは五人で、会話をしていると朝日が、なにかを思い出したようにみんなに言った。
「そういえば…キスって誰からするの?」
あ、朝日!?と動揺している私をよそに、四人が会話を続ける。
「あーたしかにー!」
「そ、そうですね…。どうしましょう…」
「たしかに、それは考えてなかったわね…」
みんなが一斉に私を見るけど、決められないだろうなぁ…という顔をすると四人で話し合う。
うぅ…。
そうだけどぉ…。
ごめんねぇ…。
なかなか決まらず、相談をしている四人に余計迷わせてしまうけど、ちゃんと伝えないといけないことがあった。
「あ、あの…私…ファーストキス…まだなんだけど…」
「うん!知ってるよ!ちなみに私もファーストキスまだなんだー!」
「あさっちから聞いてたから知ってるよー!あ、私もまだだよー!」
「わ、私もまだです…。あと、朝日先輩に聞いてました…」
「わたくしもよ!それと、中谷朝日から聞いたわ!」
「えぇ!?朝日どういうこと!?っていうかなんで知ってるの!?」
「情報の共有は大事だからね!それと、なんで知ってるかは、かずきのお母さんとずっとチェック…あ、なんでもない」
「まって!?お母さんとチェックってなに!?ねぇ!?」
「なんでもなーい!」
それ以降はいくら問いただしてもなにも教えてもらえなかった。
お母さんとチェックってなに…。
唖然としてる、私をよそにまた四人での相談が始まる。
「んー…どうしよー」
「あ、それならさ!一番はあさっちでいいんじゃない?」
「ですね…!朝日先輩でいいと思います…!」
「そうね!あなたが一番好きだった期間も長いし!」
「え…でもそれは…」
みんなが、いいからいいからと言い、一番は朝日に決まった。
その後の順番と場所は、みんなそれぞれしたい場所があるらしく、タイミングも一番以外はそれぞれが決めるとのことだった。
私はてっきりここでするのかと思っていたので、少し安心していた。
みんなに見られながらするの恥ずかしいもん…。
そうして、明日はテスト終わりの打ち上げをすることが決まり、時刻はすでに夕方だったので、ここで解散という話になる。
「あ、ねぇねぇみんな!最後にさ…」
私が一つ提案する。
「いいねー!やろやろ!」
「かずっちー!ナイスだよー!」
「はい…!さすが王子様…素敵です…!」
「ええ!いいわね!」
みんなが了承し、五人がピースをする。
そして、ある形を作ると声を合わせ言う。
「「「「「みんなで幸せになろー!!!」」」」」
五人の指で形作られ、赤い夕日に照らされた、みんなの思い出の星に。
願いではなく…これからの想いを。
ー 第一章 モテ期到来 完 ー
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