雪が落ち着いたので、次のアトラクションに向かう。
「わぁ…!大きいですねぇ…!」
「うん…!大きいねぇ…!」
アトラクション前まで着くと、二人で驚いていた。
最後のアトラクションは観覧車。
さっそく二人で乗り込むと雪と隣通しで座り、今日の感想を言い合った。
「王子様…今日は本当にありがとうございました…!それと、いっぱい迷惑かけちゃってごめんなさい…」
「ううん!気にしないでいいよ!それに私も楽しかったから!」
「王子様はやっぱり優しいですね…」
「そんなこと…」
私が照れていると雪がなんだか緊張しながら私に質問する。
「あ、あの…王子様…」
「うん?どうしたの?」
「本を返しに来てくれた日、王子様が気に入ってくれたシーンのこと覚えていますか…?」
「うん!覚えてるよ!王子様が優しく、時には勇ましくエスコートしているシーンだね!」
「そうです…!それじゃあ、そのシーンがあった物語の内容は覚えていますか…?」
「もちろん!えーとね…」
物語を思い出し、話す。
ある日少女が王子をデートに誘います。
場所は森の奥にある山の頂上まで。
王子は少女のデートのお誘いを受けると、さっそく一緒に向かいます。
大変な道のりでしたが、少女は王子とのデートが嬉しくて笑っていました。
だけど、少女が森の前まで来ると、入るのが怖くて震えてしまいます。
そんな、少女を王子が優しく手を引いて先導してくれます。
少女は、王子の優しさに安心して歩き出します。
だけど、途中で驚くことがあり、少女が泣き出してしまいました。
泣いてしまった少女を王子は優しく抱きしめ、少女を励まし、少女の手を引き、勇ましく歩き出すのです。
少女はそんな王子に勇気づけられると、無事森を抜けられたのです。
そこまで話すと雪が言う。
「はい…。お化け屋敷での王子様はまるで…お話の中の王子様みたいでした…」
「あはは…そう言って貰えるのは嬉しいけど、実際の私はあんなかっこよくなくて、怖がっていたよ…。お化け屋敷を進めたのも雪がいてくれたおかげだし」
「いいえ…。王子様は本当に優しく、頼もしかったですよ…。本当に私はそう思いましたから…!」
あの時は雪を助けたくて無我夢中だったけど…。
雪がそう思ってくれたなら嬉しいな…。
そう思っていると、観覧車がちょうど真上の辺りに来た時だった。
雪が言う。
「王子様。あのお話の続きは覚えていますか?」
「あの続きはたしか…」
少女は山の頂上へ着くと王子に感謝のキスをしました
突然、雪が私の頬にキスをする。
私が驚いていると雪が言う。
「えへへ…お礼です…。今はお話みたいなキスは出来ないですけど…。いつか私だけの王子様になってもらって。今度は本物のキスをさせてもらいますね…」
そう言い照れる雪はすごくかわいくて、ドキドキしてくる。
だけど、私は心の中で思う。
今はやっぱり応えられないの…本当にごめんね…。
なんだかそんな私が嫌になってくる…。
そう考え暗くなる私に、雪が突然声を上げる。
「あ!王子様!見てください!すごいキレイですよ!」
雪が指指す方を見てみると、沈みかけの夕陽が、海に映ってキラキラと輝いていた。
雪がすごく嬉しそうにしている姿を見て、今は自分勝手だけど一緒に楽しもうと考えた。
「ほんとだ!すごいキレイだね!」
その後も、二人で見えなくなるまで夕陽を眺めた。
そして、観覧車が下まで着き降りる。
すると、係の人がスタンプを押すと、突然大きな声で、アトラクション全クリアおめでとうございます!と言った。
私達が驚いていると、係の人が腕に巻いていたリボンを外し、別のリボンを付け直す。
それから、二人で並ぶよう指示され記念撮影をすると、少し待っていてくださいと言われる。
二人でなんだろね?と疑問に思っていると二つの箱を手渡される。
中を開けてみると、かわいい額縁に飾られた写真が入っていた。
写真には私と雪が並び、繋いだ手にはハート型のリボンが写っている。
「わぁ!すごいねぇ!」
「はい…!すごく素敵です…!」
二人で感想を言いあっていると係の人が、私達の手に結ばれたリボンを外すと手が離れた。
そして、この後は自由に楽しんでくださいね!と言う。
これで繋がれていた手は自由になったけど、私達は自然と繋ぎ直し、閉園時間まで目一杯楽しむのであった。
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