上田一樹 あのね…私…みんなに言わないといけないことがあるんだ…
グループチャットに書き込むとみんなから、どうしたの?というチャットが返って来ていた。
だけど日時と場所だけ伝えると、それ以降はなにも書き込まずにいた。
そして、現在約束の場所へと着く。
すでに、みんな揃っていたようで私に駆け寄る。
「あ!かずきどうしたの!?あれから返事もないし、家に行っても誰も出てくれないし!」
「かずっち!大丈夫!?やっぱりあの日から元気なかったよね…」
「王子様…!大丈夫ですか…!?」
「上田一樹!元気ないけど大丈夫なの!?」
「ごめんなさい…」
言わないといけないことがあるのに…私は謝ることしか出来ずにいた。
「ううん!ほんと無事でよかったよぉ…」
「そうだよぉ!無事ならいいよ!」
「はい…よかったです…!」
「ええ!姿を見れただけでも安心よ!」
みんなの心配してくれる気持ちが嬉しい。
だけど、このままじゃだめ…。
言わないと…。
「あの…あのね…」
上手く言葉に出来ない。
だけど、みんなはなにも言わず聞いてくれている。
「私…私ね…」
言葉にしないと。
「みんなに告白してもらった日からね…」
泣かないように。
「みんなのことをね…意識するようになってね…」
本当のことを。
「まだ一ヶ月しか経ってないけど…」
ちゃんと伝えないと。
「一緒に過ごしていくうちにね…」
私の思いを。
「みんなのことが大好きになったの…!」
しっかりと。
「友達としてじゃなくね…」
はっきりと。
「一人の女の子として大好きなの…!」
それで。
「でも、誰かを選んだら…」
それが。
「他の人を傷つけちゃう…」
それなら。
「誰も選ばなければいいとも思った…」
だけど。
「そうしたら全員を傷つけちゃう…」
だったら。
「拒否すればいいとも思った…」
でも。
「好きになってから出来なくなってた…」
わからない。
「私どうすればいいのかな…」
わからないよ。
「どうしたらよかったのかな…」
私は我慢していた感情が溢れ泣いてしまった。
「かずき…そんなに考えてくれてたんだね…。私があの時諦めないって言っちゃったからだね…ごめんね…」
「かずっち…ごめんね…。悩ませちゃってごめんね」
「王子様…ごめんなさい…」
「本当にごめんなさい…」
謝らないで…みんなは悪くないよ…。
「あのね、かずき…実は私達も話し合ってたんだ」
「かずっちが誰かを選んだ場合はそれでいい」
「私達はみんな仲良くなって、お互いが大切になっていきましたから…」
「誰も選ばなかったら、それはわたくし達に魅力がなかっただけですもの」
「だけど、もし…もし…誰を選べばいいか悩んでいた時は…」
朝日達が言ったその言葉は私が絶対思いつかなかったことだった。
ううん、普通なら絶対思いつかない。
この四人だから。
お互いを励まし合い。
競い合い。
仲良くなったから。
大切になったから。
この四人だから出せた答え。
「「「「私達、全員と恋人になろうよ」」」」
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