一学期の終業式が終わり、五人でカフェに集まっていた。
ふっふっふっ!と笑いながら夏海が言う。
「明日から夏休みだねー!いっぱい遊ぼー!」
夏海のそんな言葉に私達もワクワクしてくる。
そして、みんなでどこに遊びに行こうかと相談していると楓さんが一つ提案する。
「みなさん!よかったらわたくしの家の別荘に遊びに来ないかしら?」
みんなで、行きます!と返事をすると、楓さんも嬉しそうに微笑む。
ちなみに、どんなところか聞いてみたけど一切教えてもらえなかった。
ただ、私の顔を見てニコリと微笑むと、楽しくなるわね!と言っていたのが気になったけど…。
私またなにかされちゃうのかな…。
こうして、夏休みの予定の一つが決まった。
その後も、前回行けなかったカラオケや、今度行われる花火大会など、予定がどんどん埋まっていく。
予定帳を見て、みんなで楽しみだねと笑い合う。
今年の夏休みはいつも以上に楽しくなるなぁ!とワクワクしていると突然朝日が言う。
「さてと予定も決まったことだし…。久しぶりにあれ!始めますか!」
「「「始めよー!」」」
私がなにがなんだかわからず唖然とする中、朝日進行でそれは始まった。
「第七回!かずきを攻略する会の報告会を始めます!」
わー!と盛り上がるみんな。
「ま、待って!」
私はいろいろと言いたいことがあったけどまずは止めることに。
せっかく盛り上がってるのに、なんで止めるのー!と怒る四人をなんとかなだめると質問をする。
「あ、あのね…!まずは…第七回ってなに!?」
私の記憶では、まだ第一回しか行われてないはずなんだけど…。
そう考えると、四人が教えてくれる。
「あー!それね!実はかずきには内緒で裏でやってたんだ!」
「かずっちに聞かれたらまずいこともあったからね!」
「ちなみに全員恋人にっていうのもこの会で相談して決めてたのよ!」
「はい…!あの時は素敵な案が出ましたね…!」
ねー!と声を揃えて言う四人。
「あ…。そうだったんだね…。その節はありがとうございました」
私は素直にお礼を伝える。
すると、みんなが私に微笑むと報告会を続けようとするので、また止める。
「かずきー!まだなにかあるのー?」
「あ、あのね…!そもそも、なんでまだその、かずきを攻略する会って続いてるの!?私もうみんなの恋人だよね!?」
え?もしかして?私ほんとはみんなの恋人じゃないの!?と少し考えたけど、それはありえないと思い考えるのをやめる。
「もちろん恋人だよ!だから、そこは私達も悩んだんだよねぇ…」
「そうそう。どうしようかってねー」
「ええ。だけど、気づいたのよね!」
「はい…!恋人になったからって、そこで終わりではないと…!」
「だから決めたんだ!かずきをもっと攻略する!」
「かずっちをいっぱい!いーっぱいドキドキさせて!」
「そして、もっとわたくし達に夢中にさせるわ!」
「その為に存続となりました…!名前も愛着があった為、そのままです…!」
だから今まで以上に覚悟してね!と言う四人。
いや…。
嬉しいけど…。
嬉しいんだけどね…。
でも…。
すでに今まででいっぱいドキドキしたのに…。
私どうなっちゃうの…。
うぅ…。
そこまで考えると、顔が赤くなりテーブルに伏せる。
頑張ろうねー!と言い合う四人。
私は考える。
みんながそんなに私をさらに攻略したいというなら…。
もっとドキドキさせて…。
もっと夢中にさせるというなら…。
だったら…。
だったら私だって…。
私は一つのことを決めると伏せていた顔を上げ、みんなに宣言する。
「私だってみんなのことドキドキさせて夢中にさせてやるんだからぁぁぁぁぁぁ!」
私の宣言に、きゃー!やったー!となぜか喜ぶ四人。
「ぜ、絶対ドキドキさせてやるんだから!」
私は念のためもう一度宣言する。
じゃあ、私達と勝負だね!という四人。
「う、うん…」
果たして私は四人に勝てるんだろうか…。と思いながらも返事をする。
こうして、私vs四人のドキドキさせ合い、夢中にさせるという、どっちにしてもお互い幸せになる勝負が始まった。
その後、第七回かずきを攻略する会の報告会は、以前話した朝日以外の三人とのキスの話になり、私は初日からドキドキさせられ一敗することとなった。
報告会が終わると、みんなでいっぱい楽しもー!と言い合い解散となる。
家に着き、時間が経ち、眠る準備を終えると、ベッドの上で横になる。
今日もいろいろあったけど…みんなとの夏休み楽しみだなぁ!
いっぱい楽しむんだー!
絶対みんなのことドキドキさせてあげるんだから!
そう考えていると、いつの間にか私は眠っていた。
そして、夏休みが始まる。
いろんな意味で楽しくも大変な夏休みが…。
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