「ほんとによかったの、瑠美」
「独り占めしたいわけじゃないし」
「その割には、嫉妬深いよねぇ」
「嫉妬ぐらい許してよ」
「……ところで、瑠美は、タロちゃんをどうしたいんだっけ?」
「私の眼の届く範囲に、常に置いときたい」
「えげつないにゃぁ」
「……好きな人がいるのに、病まない人なんていないから」
「春奈は病んでませんけど?」
「それじゃ、春奈は、付き合えたら、どうするんだっけ」
「とりあえず、異性関係はリセットかにゃぁ」
「春奈も大概病んでるって」
「えー、あたし以外の連絡先は要らないでしょ?」
「……春奈のほうがえげつないよ」
「にゃははー……それにしても競争相手の多い闘いですなぁ」
「ほんとにね」
「でも、後悔してないんでしょ」
「春奈は?」
「なんとなく始めた恋だから、後悔なんてしないのさー」
「峯村、今頃どうしてるんだろ」
「そろそろ描き上げたんじゃないかにゃあ」
「木戸口さん、驚くだろうね」
「そうだろうねぇ」
「でも、良い絵を描くんだよね、峯村って」
「そうそう。最初は、はあ⁉ って思うけど、見れば見るほど好きになるんだよねぇ」
「峯村は、天才なのかな?」
「違うと思うにゃあ」
「そっか」
「でも、そう思った方が幸せだよねー」
「なんで」
「だって、あの才能に惚れたと思うとさ、なんか納得できるじゃん」
「ちょっとだけ、わかるよその気持ち」
了
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