「ねぇ、瑠美」
「何?」
「もう、分かってるんでしょ?」
「何が?」
「木戸口さんのこと」
「だから、何が?」
「木戸口さんが違って見える理由」
「……」
「こういう時の、無言は肯定だよ」
「春奈は、はっきりと答えなかったね、昨日」
「春奈は、夢中になりすぎないようにしてるのだ」
「そう」
「にしても、面白い子ですなあ」
「そうだね」
「……好きな人に似てるように見えるなんて、とんでもないにゃあ……」
「……きっと、木戸口さんの方が困ってるよ」
「タロちゃんが、木戸口さん描くとどうなるんだろうね」
「わからない。でも、峯村だったら本当の姿が描けると思う」
「瑠美のタロちゃん信者っぷりは流石ですなぁ」
「春奈は描けると思ってないの?」
「にゃははー。そんなことないにゃ」
「そこは、否定しないんだね」
「タロちゃんの絵を世界で最もすごいと思ってるのは、春奈なのだよ」
「私だって思ってるよ。いや、まりあ先輩だって思ってる」
「まりあちゃんもタロちゃんに見えてるんだよね、木戸口さんのこと」
「うん」
「悩みは絶えませんなぁ」
「峯村は、きっと近いうちに、木戸口さんのことを描くんだろうね」
「それは予言かにゃ?」
「いいや、未来予知」
「にゃは。瑠美も冗談が上手くなったねぇ」
「でしょ」
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