魚は泳ぐ、鳥は飛ぶ、だから僕は描いている

失恋から始まる、高校生の恋愛のお話
至ッ亭浮道
至ッ亭浮道

第15話

公開日時: 2021年10月12日(火) 19:30
文字数:757

 生徒会せいとかい物置ものおきとなっている教室きょうしつでは、大園おおぞの先輩せんぱいすで準備じゅんびすすめてくれていた。


「なんで川上かわかみちゃんが⁉ ……っは! 今日きょうもおっきいねー!」

「まりあ先輩せんぱいもかわいいですよ。……峯村みねむらくのをようとおもって」

「そうなんだね!」


 と、大園おおぞの先輩せんぱい納得なっとくしかけた。

 しかし、おもかえしたように、窓側まどがわすわっている女子じょし生徒せいとた。


「でも、ちゃんは大丈夫だいじょうぶかな?」

「……大丈夫だいじょうぶです。もう、緊張きんちょうしてるので」


 木戸口きどぐちさんは、まえ学校がっこうのブレザーをいで、シャツだけになった状態で、椅子いすすわっていた。

 木戸口きどぐちさんは、水色みずいろのシャツをていた。

 首元くびもとにはいつものとおり、リボンをむすんでいる。

 かみの揺れとシャツのあわ水色みずいろのグラデーションがうみ色彩しきさいているがした。


峯村みねむらクン、準備じゅんびわったよ。あとはおみずだけ!」


 大園おおぞの先輩せんぱいはそうって、こし両手りょうてててエッヘン。


「ありがとうございます。それじゃみずってきます」


 そうってぼくは、カバンをゆかくと、先輩せんぱい用意よういしてくれたふであらいをって、部屋へやた。



「ねえ、木戸口きどぐちさん」

「はい?」

木戸口きどぐちさんは、どうしていてもらいたいとおもったの」

「わかりません。ただ――」

「ただ?」

「――峯村みねむらさんの気持きもちがうれしくて。いきなりかせて、ってわれたときはびっくりしましたけど」

「あちゃー、タロちゃんのいつものパターンだにゃ」

「ね! 峯村みねむらクンってやっぱりやさしい!」

「いつもの……?」

わたしもね、おなじようなことがあったの」

「あたしもー」

「わたしもだよ!」

「……なんとなくきました。やっぱり、峯村みねむらさんはやさしいんですね」

だれにでもやさしいひとだから、とききずつけちゃうのにゃー」

「え?」

春奈はるな余計よけいなことわない」

「ごめんにゃー」

「木戸口さん。最後さいごひとっておくね」

「……はい」

峯村みねむらとき覚悟かくごしてね」

「え――?」



「すいません! おくれました」

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