魚は泳ぐ、鳥は飛ぶ、だから僕は描いている

失恋から始まる、高校生の恋愛のお話
至ッ亭浮道
至ッ亭浮道

第2章

第7話

公開日時: 2021年10月4日(月) 19:30
文字数:1,031

「どういうこと?」

「だから――」


 翌日よくじつ

 ぼくは、川上かわかみさんと佐藤さんの二人ふたりに、昨日きのう事件じけんはなしていた。


ってる意味いみはわかるんだけど」

大変たいへんだったんねぇ」


 けれど、二人ふたりとも心底しんそこどうでもさそうだ。

 たしかに、二人ふたりにはどうでもいいはなしだとはおもっていたけど……。

 ぼく溜息ためいきをついた。

 ぼくのその様子ようすて、川上かわかみさんがはなしってくれた。


峯村みねむらからたら、そのひと村口むらぐちさんそっくりに見えたんだ」

「うん」

「それだったら、まりあ先輩せんぱいが、そのひと峯村みねむらが、てるっていうのはおかしいね」

「そうなんだよ」


 ぼくは、はげしくくびって、そのときおどろきを、再現さいげんしようとする。


「それでまりあちゃんは、タロちゃんのそっくりちゃんの、どこがてるってったんだっけ?」

雰囲気ふんいきてるって」

雰囲気ふんいきじゃあ、わからないにゃあ」

「そうなんだよね……」


 ぼくはなしていることは、ただしいはずだ。

 昨日きのうのことを正確せいかく説明せつめいしているとおもう。

 けれど、その内容ないようがわけのわからないはなしだから、何度なんどはなしているうちに、ぼくもわけがわからなくなってきた。


はどうおもう? タロちゃんが間違まちがえてるのかな?」

「わからない。……けど、まりあ先輩せんぱいが、峯村みねむら女子じょし間違まちがえてるほうになる」

「だよねぇ。タロちゃんはべつおとこってわけでもないしねぇ。

 昨日きのうじつは、放課後ほうかごじょそうしてた?

 かく女装癖じょそうへき?」

「してないよ!」

「やっぱりかぁ」


 とって、佐藤さとうさんはケラケラわらった。


ぼく間違まちがえてたのかな?」

間違まちがええてた可能性かのうせいたかいのは、まりあ先輩せんぱいだとおもうけどね。普通ふつうかんがえると」

辛辣しんらつだねぇ」

「でも、そうじゃない?」

「……まあ、タロちゃんとまりあちゃんだったら、タロちゃんをしんじるかなぁ」

「ほらね」


 そんな調子ちょうしで、ぼくたちのはないはすすまずに、環状かんじょうせんをぐるぐる周回しゅうかいする。

 すると、佐藤さとうさんが、突如とつじょとしてがった。


「タロちゃん! その木戸口きどぐちさんとやらの写真しゃしんは、っとらんのだね?」

「……ってないよ」

「ほんとかにゃぁ。じつはこっそりかくしてるんじゃないのかい?」

「してないってば!」

「にゃはは! ならば、方法ほうほうひとつしかあるまい! こう!」

「えぇ⁉」


 ぼくは、唐突とうとつぎる提案ていあんに、呆気あっけられた。

 しかし、川上かわかみさんは、はあぁとふか溜息ためいきをついた。


「これはもう! 確認かくにんするしかないよ! わたしたちのて!」

「でも……」

「でもも、だってもなーい! くぞ少年しょうねん! 真理しんりつけに!」


 と佐藤さとうさんがったそのとき


HRホームルームはじめるぞー。せきすわれー、佐藤さとう

「あ、はい」


 時刻じこく午前ごぜんの8はんごろ

 これはすべてあさ出来事できごと――。

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